air髙田幸二副社長インタビュー① 憧れのパリコレで出会った宝物、メイソンピアソン

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air髙田幸二副社長インタビュー① 憧れのパリコレで出会った宝物、メイソンピアソン

有名美容師や異業種のプロフェッショナルが、愛用品とその思い出について語る「千一夜モノ語り」。

第3夜は、今年6月に創業20周年を迎えるエアーエンターテイメントの副社長、髙田幸二さんの登場です。

有名タレントやモデルが通うことでも知られるトップサロンのairを始めとする多角展開でトータルビューティの提案に取り組んでいるエアーエンターテイメント。その創業当初から、経営戦略は岩田卓郎社長、技術統括は髙田幸二副社長の二人三脚で歩んできたといいます。

愛用品には、人柄や生き様が表れるもの。これまでの道のりと共にあった愛用品、今後の展望を聞きました。

>> 千一夜モノ語り 髙田幸二さんの愛用品 ①前編 ②中編 ③後編

美容師5年目、パリコレに

── エアーエンターテイメントは今年で創業20周年、髙田さんは美容師になって29年ですね。airを立ち上げる前は、どのような美容師人生だったのでしょうか。

福岡のサロンで3カ月働いて東京に出ました。

転機となったのは美容師になって5年目。コレクションの仕事がしたくて、入賞者はパリコレのバックステージサポートを体験できるという美容メーカー主催のコンテストに応募しました。僕はスタイリストになったばかりでしたが、全国で8名の入賞者に選ばれたんです。

それで初めてフランスに行き、パリコレのバックステージに入りました。これが自分にとってはものすごく衝撃的な体験でした。

── 20代半ばで世界最高峰のコレクションを経験されたのですね。

当時はスーパーモデルブーム。ナオミ・キャンベルやケイト・モスが活躍した時代です。きらびやかな世界に魅せられ、この世界に入りたいと思いました。

パリコレのヘアメイクアーティストに日本人がいたのですが、その人の弟子になりたくて断られ、それでもゴリ押しして最後は居座るようにして認めてもらいました。日本とパリを行き来する生活を2年ほど送り、アシスタントとして入ったパリコレのステージは30以上になります。

メイソンピアソンのブラシを手にするair髙田幸二副社長
これで3代目になるという髙田さん愛用のメイソンピアソンのブラシ

─ 一流のアーティストは道具にもこだわっていそうです。

パリのアーティストはメイソンピアソンのブラシを愛用していました。『ブラシ界のロールスロイス』と呼ばれるブラシで、本当にみんなが使っているというものでした。

何回ブラッシングしても、細い髪の毛も傷めない。外国人の髪をストレートにブローするのにもいい。

日本では知られていなくて『なぜ、クッションブラシでブローするの?』と当時はよく聞かれましたね。

パリコレで出会い、憧れのスター達が使っていた宝物。以来、僕はずっとメイソンピアソン。黒が一般的ですが、僕が愛用しているのはブルーです。ブルーは当時、パリとニューヨークにしかなかった。今使っているのは3代目です。

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カリスマブームに覚えた違和感

── パリコレで仕事をしながら、日本では原宿のサロンに勤務されていました。カリスマ美容師ブームが最高潮の時です。

カリスマブーム当時は、美容師主導の流れでした。流行のスタイルを何十人もの人にデザインするというのが当たり前のようになっていました。

でも、それは違うんじゃないかと違和感があった。その人の持つ個性を活かす、その人に似合うヘアスタイルにすることが大事なのではないかと。

そんな頃に出会ったのが、現在、エアーエンターテイメントの社長を務めている岩田卓郎です。

── どのような出会いだったのですか?

とにかく抱えていた思いを熱く語り合い、共感しました。

僕ら二人の思いは、妥協のない『本物の美容室』をつくりたいということです。

それで1999年6月、麻布に1号店を出しました。“そんなに主張はしないけど、本物がわかる”という人が訪れる大人の街を選びました。

── 銀座や青山の一等地に店を構え、モデルやタレントが通うサロンという今のイメージからは意外な選択です。

新しいことを始めようと思っていたので、青山や原宿ではないところに店を出しました。

ホスピタリティとかパーソナルとか、今では当たり前のことですけど、それを本気でやろうとしたんです。

1店舗目から理念を明確に

エアーエンターテイメント髙田幸二副社長
「本物の美容室」をつくりたい。基盤づくりの3年で「絶対負けないチーム」ができた

── 直営サロン、パートナーサロン、エステティックブランド「マリコール」を東京・埼玉・神奈川の首都圏を中心に関西・九州へと全国展開し、オリジナル商品の開発・販売や美容クリニックとの連携も進めています。

トータルビューティの提案は最初からです。

ヘア、メイク、ネイル、エステ、そしてブライダル衣装のレンタルという新しい形のトータルビューティーサロンを延べ150坪で出しました。

スタイリストとアシスタントを合わせて8人でのスタート。岩田は経営に専念し、現場は僕が統括というのは当時から今日まで変わりません。

── それだけの大型店となると、相当数の顧客がいないと経営が成り立ちませんよね。集客はどのように工夫したのですか?

紹介から紹介でつないでいこうと決めていたので、地道にそれだけです。まだ麻布十番駅もない時だったので、店の前を通りかかる人自体がほとんどいない。紹介で少しずつお客さまを増やしました。

3年は基盤づくりと覚悟していましたが、それでも1年間は本当に苦しかった。売上がなかなか上がらず、このままでいいのか、このまま続けて大丈夫なのかとスタッフから不安の声も上がりました。

信じること、続けること、それをやり続けるしか僕らにはなかった。しかし、それを続けること、信じることで、仲間ができ、絶対負けないチームができました。

── そして、基盤づくりの3年が経った時、ついに。

麻布十番に自社ビルを建て、その翌月、同じく麻布十番に2店舗目を出すことができました。

ここからは速かったです。『CanCam』や『JJ』などのいわゆる赤文字系雑誌、モデルの宣材写真の撮影など、ヘアメイクの仕事を積極的に受けていきました。

ヘアだけでなくメイクも得意な、ヘアメイクの仕事ができるスタッフがエアーには集団でいたからこそ出来たことです。

モデルのお客さまがモデル仲間を紹介してくれることで、モデルやタレントが通うサロンというイメージが広まっていくという「メディア戦略型サロン」となりました。

千一夜モノ語り 第3夜 髙田幸二さんの愛用品
エアーエンターテイメント・airの副社長、髙田幸二さんインタビューSNS画像

⇒①前編/パリコレの思い出。メイソンピアソンのブラシ
②中編/創業からの時をともに歩んだ腕時計
③後編/オリジナルヘアケア「プラチナ ドロップ」

■髙田幸二(たかだ・こうじ)
エアーエンターテイメント副社長。福岡生まれ。美容師5年目でパリコレクションのバックステージを経験。日本とパリを行き来する生活を2年ほど送り、アシスタントとして入ったパリコレのステージは30以上に上る。原宿の美容室で活躍した後、カリスマ美容師ブームの最中である1999年、現社長である岩田卓郎氏とともにエアーエンターテイメントを設立し、副社長に就任。創業時から今日まで、グループの技術統括を担う。

■air-GINZA central
http://www.air.st/
住所:東京都中央区銀座6-9-3 銀座AKビル5階
TEL:03-3573-6565

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