有名美容師や異業種のプロフェッショナルが、愛用品とその思い出について語る「千一夜モノ語り」。第3夜は、今年6月に創業20周年を迎えるエアーエンターテイメントの副社長、髙田幸二さんの登場です。
有名タレントやモデルが通うことでも知られるトップサロンのairを始めとする多角展開でトータルビューティの提案に取り組んでいるエアーエンターテイメント。その創業当初から、経営戦略は岩田卓郎社長、技術統括は髙田幸二副社長の二人三脚で歩んできたといいます。
愛用品には、人柄や生き様が表れるもの。これまでの道のりと共にあった愛用品、今後の展望を聞きました。
創業当初から決めていたオリジナル商品の販売
── 従来の美容室という枠におさらまらず、創業当初からトータルビューティを提案されてきた御社ですが、オリジナル商品も充実していますね。
当社には、商品開発部、教育部、イベント部、IT部など様々な部署があり、オリジナル商品については商品開発部を中心に進めています。
オリジナル商品をつくるというのは、エアーのスタート時から岩田が考えていたことです。実際に商品ができたのは、創業から4年後でした。
2003年にオリジナルトリートメント「プラチナ」をつくりサロンメニューに導入したところ、2人に1人がこの施術を受ける人気となり、「ホームケアにもほしい」という声がたくさん上がりました。こうして生まれたのが、今では、シャンプー、トリートメント、ミスト、オイルをそろえる「プラチナ ドロップ」シリーズです。
── 今でこそオリジナル商品を持つ美容室も増えましたが、20年ちかくも前から取り組みを進めていたのは驚きです。
サロンで髪を切ったり、カラーをしたりという時間だけでなく、僕らの手から離れているときも、商品がお客さまの髪や肌のケアをして、施術のアフターケアをしてくれます。
つまり商品は、独り歩きしてくれるのがベストだと思っています。
エアーのオリジナル商品は、ヘアケアもスキンケアもあります。エアーが創業当初から目指しているトータルビューティーのひとつです。いい商品は、お客さまを幸せにします。
また、スタッフが働いている時間以外での売り上げがあることで経営が安定するので、スタッフの待遇を良くすることができます。
髪を切る以外にも多様な仕事がある組織
── 商品開発部を設けているところにも力の入れようを感じます。
エアーエンターテイメントは、ただのサロンではなく会社です。様々な部署があり、いろいろな働き方ができます。
いくつになってもずっと髪を切っていくのはむずかしい。じゃあ、美容師は髪を切れなくなったら終わりなのか? 僕らは『現役を終えたら、さよならバイバイ』というサロンにはしたくない。
そのためには、独立してオーナーになる以外の道を会社としてつくることが必要です。経営陣として残る人、講演をする人、商品をつくる人、いろんな働き方があっていい。
「集団なら最強」です。エアーにいることで、いろいろなコネクションができ、いろいろなものになれます。
いま、店長が30代半ばで、マネージャー、ディレクターが40代。有名になった美容師も独立せず、長く働きたいとスタッフが思う会社になりました。
── いよいよ6月で20周年。今年のテーマは「出陣」です。
毎年、ホテルで決起会を行っているのですが、そのたびに、多くのスタッフと来賓で盛大に祝えることに感謝と喜びを感じます。
何より大切なのは「人」です。「仲間」です。僕らは皆、人と人です。誰かのために、お客さまを幸せにするために、この大きな目的のため、いろいろなことに挑戦し、新しいことを取り入れています。
エアーをつくると決めたその時から、ぶれることなく常にそう思っています。エアーに関わる全ての人が幸せになるよう全精力を注ぎ、道を誤ることなく、ちゃんと地に足をつけて進んでいきたい。
会社も大きくなり20周年を迎えますが、これで成功とは思っていません。これから先も目的を見すえて、日本一、世界一の最高の組織、最高のサロン、最高の会社となるよう、仲間たちと一歩ずつ進んでいきたいと思っています。
千一夜モノ語り 第3夜 髙田幸二さんの愛用品
⇒①前編/憧れのパリコレで出会った宝物、メイソンピアソン
⇒②中編/創業からの時をともに歩んだ“空気”のような時計
⇒③後編/オリジナルヘアケア「プラチナ ドロップ」
■髙田幸二(たかだ・こうじ)
エアーエンターテイメント副社長。福岡生まれ。美容師5年目でパリコレクションのバックステージを経験。日本とパリを行き来する生活を2年ほど送り、アシスタントとして入ったパリコレのステージは30以上に上る。原宿の美容室で活躍した後、カリスマ美容師ブームの最中である1999年、現社長である岩田卓郎氏とともにエアーエンターテイメントを設立し、副社長に就任。創業時から今日まで、グループの技術統括を担う。
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