2019.08.19更新(2019.08.19公開)
2019年10月より、消費税率が10%に引き上げられます。
美容サロンの経営者は、いま何をすべきなのか?
税理士・公認会計士であり、美容サロンのオーナーでもあるという貝沼彩先生が解説します!
自身で美容サロンを経営する税理士が解説!今すぐやるべき7のこと
前回の消費増税(5%→8%)は2014年4月。この当時、すでにサロン経営をされていた方もいらっしゃると思います。
しかし今回の増税は、単に税率が引き上げられるだけでなく、軽減税率が導入されるため、サロン経営者として注意すべきことも増えます。
そこで、サロン経営者として押さえておきたい「今すぐやるべきこと」を7つご紹介します。
①サービス・商品に、増税後も8%でOKなものがないかチェック!
②サロンのメニュー料金を修正!(内税?外税?)
③回数券の金額について整理!
④レジの設定をチェック!(税率10%に変えられる?)
⑤広告に「消費増税のNG表現」がないかチェック!
⑥請求書・領収書をチェック!(消費税は区分表示されている?)
⑦会計帳簿への記入の仕方をチェック!
①サービス・商品に、増税後も8%でOKなものがないかチェック
軽減税率(8%)が適用されるのは、
- 酒類・外食を除く飲食料品
- 週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づくもの)
ということで、サロンにはあまり関係のないようにも思えますが、サプリメントや美容ドリンクに関係します。
食品扱いとなるサプリメントや美容ドリンクを自宅用に販売している場合は、軽減税率の対象になるため消費税は8%で済みます。一方、施術の過程において、その場で飲むような場合には外食扱いになり、10%の消費税がかかります。
軽減税率が適用される食品とは、食品表示法で規定されているものです。医薬品・医薬部外品などは食品となりません。まずは、ご自分のサロンの中で、8%が適用されるものがあるかどうか確認しましょう。
②サロンのメニュー料金を改定(税率10%に修正)
サロンのメニュー・ホームページ・チラシなどで表示するサービス価格は、基本的に「税込価格」で表示する義務があります。
税抜価格での表示も期限付き(2021年3月31日まで)では認められていますが、その場合はサロン内の目立つ場所やホームページ内で「当店の価格は全て税抜価格です」といったアナウンスをする必要があります。
しかし、張り紙をしたからといって、お客さまが必ず気づくものではありません。お客さまにしてみれば10,000円だと思ってサービスを受けたのに、レジで「11,000円です」と言われたら「え!最初に言ってよ」と思いますよね。私のサロンでは、そうした誤解や信用の低下を防止するために、価格表示は全て税込みにしています。
税込表示にしているサロンの場合、増税後に税込のサービス価格を上げないと、税抜のサービス価格(つまり売上)が減少してしまいますので、要注意です。
③回数券を販売する金額について整理
回数券を販売したのが消費増税より前でも、そのサービスについて何%の税率が適用されるのか(8%なのか10%なのか)は「サービス提供時期」で決まります。
つまり、税込み10,800円×10枚の回数券を販売していて、10月以降にお客さまが回数券を利用した場合、10,800円のうち、消費税が981円、売上が9,819円となるため、売上の低下を招きます。
これから販売する回数券は、そのほとんどが10月以降に利用されるでしょうから、11,000円×10枚で販売するという対策が有効です。
ただし、お客さまとしては支払い金額が増えることになるため十分な説明が必要です。お客さまに納得していただける説明ができるよう、一人ひとりの従業員がしっかり理解できるようオーナーが話しましょう。
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④レジの設定をチェック(税率を10%に変えられる?)
10月1日から消費税10%で計算されるように、POSシステムなどのレジの設定は完了していますか?
どこかから提供されているレジをお使いの場合も、その提供元に事前に確認をしましょう。
また、軽減税率8%が適用されるものがあるサロンは、8%と10%の2段階の税率にレジが対応しているかについても確認が必要です。
⑤広告に「消費増税のNG表現」がないかチェック
消費税転嫁対策特別措置法により、消費税転嫁を阻害する表示、例えば「消費税分を値引きします」「消費税は当店が負担します」「消費税還元セール」などの宣伝や広告は禁止されています。
違反は指導や助言の対象になりますので注意しましょう。私のサロンでは、広告するにあたり、消費税については一切触れないことにしています。
⑥請求書・領収書をチェック(消費税が区分表示されている?)
美容サロンの場合、請求書を出すということはあまりないかと思いますので、まずは、受け取る請求書・領収書(支払うもの)についてです。
2019年10月以降は、8%のものが混じる場合には、10%のものと8%のものを区分した請求書を作成する(8%のものには※をつける)ことになります。
自分が受け取ったものが、区分表示されているかを確認しましょう。もしも、請求書・領収書に税率の区分の記載がないものを受け取った場合は、支払う側(美容サロン側)で、事実に基づいて書き加えることもできます。
また、軽減税率の対象となるものを販売するサロンは、区分表示した領収書を作成する立場になるため、事前に確認、用意をしておきましょう。
⑦会計帳簿への記入の仕方をチェック
請求書・領収書につき、区分表示が必要になるのは上記の通りです。
さらに、それらの書類をもとに作成する会計帳簿上でも、2つの税率のものを区分し記載をする必要があります。これを「区分経理」といいます。
「美容サロンが今すぐやるべき7のこと」まとめ
消費増税まで残りわずかとなりましたが、皆さまの準備状況はいかがでしょうか?
実際増税されてから取り組むのでは、「やるべきこと」に漏れが出たり、作業が混乱し余計に時間がかかったりもします。
すでに直前ではありますが、まずはよく理解して、スムーズに増税を迎えましょう。そして、これに関する作業に余計な労力をかけず、その分売上アップに注力できるよう、事前に準備しておきましょう!
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今回解説いただいた貝沼彩先生による無料セミナーを行います。
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前回の消費増税時、すでに貝沼先生は税理士・公認会計士として、また美容サロンのオーナーとしてご活躍だったので、セミナーでは消費増税で美容サロンはどうするべきか、間違えやすいところはどこなのかを実践的、具体的に解説していただきます。
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貝沼 彩(かいぬま あや)
税理士・公認会計士・サロンオーナー
早稲田大学卒業後、2009年7月に公認会計士登録。監査法人トーマツ、登公認会計士事務所を経て、2011年に貝沼公認会計士事務所、税理士法人みなと東京会計を設立。現在は貝沼公認会計士事務所代表、税理士法人みなと東京会計代表社員を務める。2006年にエステティック&ネイルサロン「Vaogy(バオジー)」をオープン。サロンを自ら経営しているからこそわかる実践的なアドバイスに定評があり、美容室、エステティックサロン、ネイルサロン、アイラッシュサロンの顧客を多数抱える。