連日、消費増税に関するニュースが報道されています。
「6カ月分の定期券を購入しておけば、増税後もそのままの金額で使えるのでお得」という情報を耳にされた方も多いのではないでしょうか?定期券だけでなく、映画の前売り券、遊園地の年間パス、スポーツ観戦のシーズン券なども同様です。
消費者にとってはお得な情報ですが、裏を返せば、販売側には負担があるということ。美容サロンの経営者にとっては「サービスの回数券・チケット」がこれに当たります。
消費税が10%になる前、今すぐ取るべき対策について、税理士・公認会計士であり、美容サロンのオーナーでもあるという貝沼彩先生に聞きました。
販売済み回数券、消費税の差分は美容サロンの負担になる
税込み10,800円×10枚の回数券を販売したサロンを例にとると、10月以降にお客さまが回数券を利用した場合、1回の施術料金にかかる消費税は800円⇒981円に上がります。
差額の181円はサロンが負担するため、消費税分を引いたサロンに残る金額は10,000円から9,819円へと減ってしまうのです。
回数券を販売したのが消費増税より前でも、そのサービスについて何%の税率が適用されるか(8%なのか増税後の10%なのか)は「サービス提供時期」で決まるためです。
ただし、「カラーリングの3ヶ月やりたい放題」コースなど、途中解約不能で返金不要なものを販売する場合には、全額につき販売した時の時点の税率で消費税が課税されます。
行動① 増税前に使い切ってもらうために営業電話・メッセージを送る
回数券は10枚単位などで販売しているサロンが多いかと思います。10,000円のチケットなら1枚あたり181円の負担が、10枚だと1,810円。小さい金額ではありませんよね。
そこで今すぐ、営業電話をかけてメッセージを送りましょう。
増税の前に使ってほしいというのはサロンの都合ですから、そこをお客さまに言う必要はありません。
「せっかく回数券をご購入いただいたのに、まだお使いいただいていないようです(まだ残っているチケットがあるようです)。近々ご来店されませんか?」と電話をかけたり、LINEでメッセージを送ったりするだけで十分です。
消費増税の直前に連絡すると、予約も調整できないし印象もよくありません。
お客さまに「チケットが無駄にならないよう心配してくれた」「このサロンは気にかけてくれている」と思っていただくには、まだ1カ月ある今すぐに連絡することが大事です。
行動② 今から販売するチケットは増税に対応した価格にする
今から販売する回数券については、そのほとんどが10月以降に利用されるでしょうから、11,000円×10枚で販売するといいでしょう。
これまで10,000円で販売していたチケットを、まだ消費税が上がる前に11,000円で販売するわけですから、お客さまにはなぜなのか説明する必要があります。
オーナーからスタッフに説明し、一人ひとりがお客さまにしっかりお話できるようにしましょう。
少しメニュー内容を変えて11,000円にするというのも、比較的スムーズに値上げする方法です。
回数券についての対策まとめ
回数券について、美容サロンが今すぐ取るべき行動は
① <すでに販売した分>については、チケットを消費してもらうために営業活動
② <これから販売する分>については、販売価格を見直す&なぜなのか説明できるようスタッフ全員が理解する
です。
ご自身でも美容サロンを経営している貝沼彩先生ならではの具体的な対策をうかがいました。
税理士と顧問契約するメリットは、納税手続きだけでなく、節税対策についてアドバイスが受けられる、税務の悩みを相談できるということがあります。
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貝沼 彩(かいぬま あや)
税理士・公認会計士・サロンオーナー
早稲田大学卒業後、2009年7月に公認会計士登録。監査法人トーマツ、登公認会計士事務所を経て、2011年に貝沼公認会計士事務所、税理士法人みなと東京会計を設立。現在は貝沼公認会計士事務所代表、税理士法人みなと東京会計代表社員を務める。2006年にエステティック&ネイルサロン「Vaogy(バオジー)」をオープン。サロンを自ら経営しているからこそわかる実践的なアドバイスに定評があり、美容室、エステティックサロン、ネイルサロン、アイラッシュサロンの顧客を多数抱える。