まるで絵の具! 色表現は自由自在
クリエイティブの第一線を走り続ける内田聡一郎氏(LECO)の協力を得て開発した「エノグ」。その名の通り、絵の具のように混ぜたり塗り重ねたりして自由自在に色を表現できるヘアカラー剤だ。
ピュアな染料設計と発色速度をそろえるミルボンの独自技術で、無限の色表現を可能にした。アルカリカラーと塩基性カラーの全5ライン・53色を取りそろえる。
ハイトーンカラー人気、初月2.6億円
エノグの目標売上高は、年間5億円。この53.5%に当たる2億6700万円を、6月11日~30日までの20日足らずで販売した。
エノグ | ||
通期目標 | 当期実績 | 進捗率 (%) |
500 | 267 | 53.5 |
単位:百万円 データ:ミルボン決算資料 |
ちなみに、ミルボンの主力ヘアカラーブランドである「オルディーブ アディクシー」の年間売上高は34億5300万円(2021年7月~2022年6月/前年比19.9%増)。エノグの初年度目標5億円は、オルディーブ アディクシーの14.5%に相当する。
エノグの開発背景には、ファッションカラーの需要増がある。ミルボンのファッションカラーの売上高は、2017年から2021年にかけて約1.7倍に伸長したという。
業界全体でも、ブリーチを前提とするハイトーンカラーは成長が著しい。市場が広がるなか、美容師のデザインへの探究心や一般生活者の色へのこだわりに応えるべく投入され、見事に好発進を切ったエノグ。「エッジの効いたブランドの売上は上限が知れている」という“常識”に一石を投じるかもしれない。
ただ、初動はよくてもリピートがかからず失速するブランドも少なくない。インスタグラムで#enogをつけた投稿は現在6300件ほど。ここからの動きに注目だ。
「POP IS BACK!!!」内田聡一郎氏がエノグ実演
エノグの発売1カ月前、5月16~18日に東京ビッグサイトで開催された「ビューティーワールド ジャパン2022」(主催:メッセフランクフルト ジャパン)では、内田聡一郎氏がセミナーを行った。
“内田流エッジィなデザイン”に用いたヘアカラー剤はもちろんエノグだ。照明を落としたなかでカットを行い、エノグを塗布。
コールドタイムの間に内田氏は「先行きが不透明で将来の予測が困難なVUCA(ブーカ)の時代に、経営や個人のキャリアをどうするか」と問いを投げかけ、「インスタグラムの発信はすでに飽和し、後追いの情報に飽きた人々はドラマティックを求めている」「クリエイションを通じて、自分なりの最適解をつくる」と持論を展開した。
最後に、淡いプラチナブロンドからポップ味のあるヴィヴィッドなイエローへの変身を披露すると「POP IS BACK!!! カラートレンドでPOPを取り戻せ!」とメッセージを送った。
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文/大徳明子