美容室でスキンケア&メイクをトータル提案
コーセーとミルボンによる合弁会社コーセー ミルボン コスメティクスは、第1弾となる美容室専売化粧品ブランド「インプレア(iMPREA)」の概要を明らかにした。
ブランドコンセプトは「美容師による印象革命」。スキンケアとメイクアップ合わせて18品目23品種(税抜500円~1万円)を取りそろえる。
2019年4月1日より、一部の美容室で正式に取り扱いを開始し、9月1日に全国発売する予定。
美容室は「生涯美容」をかなえる化粧品販路
コーセー ミルボン コスメティクスの設立は、2017年7月。
コーセーのスキンケア・メイク製品開発のノウハウと、ミルボンのヘア関連製品開発のノウハウと美容室販売網および教育システム、それぞれの強みをいかして新たな美容室専売品をつくりだすことを目指して設立された。
出資比率は、コーセー51%、ミルボン49%。ミルボンから出向の藤原弘江氏が代表取締役社長、コーセーから出向の湯澤康弘氏が代表取締役副社長を務める。
美に対するニーズが多様化する中、お客さま一人ひとりの個性を見きわめ、個々の美しさを提供できる場所であり、定期的な来店が見こめる美容室は、新たな可能性を秘めた化粧品販路。
コーセー ミルボン コスメティクスでは「肌と髪のトータル美容を提案することで、お客さまの一生涯のキレイを叶える『生涯美容』(ライフタイムビューティ)という新たな美容価値を提供していく」としている。
ブランドコンセプトは「美容師による印象革命」
「インプレア(iMPREA)」というブランド名は、IMPRESSIVE AURA(印象的なオーラ)からの造語で、ここで言うオーラとは“その人が持つ全体の印象が放つ美しさ”のこと。
「美容師による印象革命」をブランドコンセプトとする「インプレア」は、美容師の強みである“提案力”を生かし“印象を変えることにより生まれる、一人ひとりの美しさ”を叶えるブランドを目指す。
美容師による「印象プロデュース」が鍵
カウンセリング化粧品ブランドでは、商品特性に合った使い方や美容法をメソッド(方法、方式)と呼び、ブランド哲学という意味合いを持つ。
「インプレア」のメソッドは、美容師を通じ、髪と顔をトータルで捉えた印象提案を行う「印象プロデュース」。
髪と顔の印象をつくりだす3つの要素である色、質感、形を同時に操り、お客さまに“自分らしい印象の変化”を提案する、感性と理論を融合させたメソッド。
これに基づき、健やかな美しい肌印象に導く「オーラ アップ(Aura up)」と、なりたい肌印象(4種)へと導く「オーラ チェンジ(Aura change)」の提案を行う。
「オーラ アップ」と4種の「オーラ チェンジ」で18品目23品種
「インプレア」のラインナップは18品目23品種。
肌印象を高めるアイテムである「オーラ アップ」と、色・質感・形からアプローチし、肌印象を美しく育み、魅せるアイテムである「オーラ チェンジ」で構成される。
「オーラ アップ」が目指すのは「健やかで美しい肌印象」。クレンジング、洗顔石鹸、化粧水などのベーシックスキンケアと、ファンデーション、フェイスパウダーのベースメイクをラインナップ。
「オーラ チェンジ」が目指す肌は、お客さま一人ひとりがなりたい印象で選ぶ「みずみずしい透明感のある肌印象」「やわらかい血色感のある肌印象」「艶めくハリ感のある肌印象」「引き締まった上向き感のある肌印象」の4種。
それぞれに最適なアイテムとして、角質柔軟美容液や乳液、クリーム、美容オイル、シートマスクなどのスキンケアとフェイスカラーを取りそろえる。
価格帯は、コットン(80枚入)500円から、クリーム(30g)・セラム(美容液。40mL)1万円まで。
中心商品については、化粧水(ローション)が200mL・5000円。ファンデーション(CC クッション ファンデーション)が12g4200円(ケース別売1300円)、フェイスカラーが3000円(ケース別売1200円)。
肌と毛髪に共通する「ケラチンタンパク質」に着目
「インプレア」では、肌と毛髪に共通する構成要素である「ケラチンタンパク質」に着目。コーセー、ミルボンの共同研究による新知見に基づき「ケラチンリペア処方」を開発した。
主な商品には、肌との親和性に優れたアミノ酸由来の生体類似成分でできたカプセル内に、コーセーオリジナル成分のベビーアップルエキスを配合。角層に長く留まり、長時間うるおい効果が持続することで、美しくキメの整った肌に導く。
品質コンセプトは「ヴィジュアル チェンジ(Visible Change)」で、見た瞬間、手にした瞬間に感じることができる「感動が見える化粧品」。香りは、アロマコロジーに着目したリラックス効果のある「グリーンフローラル」。見て、触れて、香りを感じ、美容室で体験した感動を毎日のお手入れに取り入れることで、肌の可能性を引き出す。
なお、「インプレア」の公式サイトは、4月1日オープン予定。
ビュートピア編集長の目
ミルボンの中期事業計画では、化粧品事業を売上高50億円、ヘア事業に続く第2の柱とすることが公表されています。
またコーセーは、子会社のクリエを4月1日付で「コーセープロフェッショナル」に社名変更します。
コーセープロフェッショナルでは、広告宣伝されているコーセーの商品も販売されるとあって今から関心を集めていますが、知名度のあるブランドが入れば、これまでよりもずっとお客さまに紹介しやすくなるでしょう。
ビュートピアの定番人気記事となっている「平成時代の終わり。理美容室店舗数の変遷を振りかえる」では「美容関連物販は今が変化の時」「美容室で化粧品を買うことが当たり前の時代へ」として、美容室で化粧品を販売することの重要性を提言し、コーセー ミルボン コスメティクスの挑戦を取り上げています。
ついに、第1弾ブランドとなる「インプレア」のヴェールが外されました。ここからの動きは、注目です。
もちろん現在も、「シュウ ウエムラ」を始め、数々の化粧品が美容室で取り扱われています。
もっと昔には、今では百貨店ブランドとして有名な「ランコム」も美容室で販売されていました。ロレアルが日本上陸にあたり、コーセー(当時は小林コーセー)と提携していたころのことです。
美容室で化粧品を販売するというのは急に出てきた話ではなく、昔からあるけれど市場として確立しきれなかったものが、大手メーカー同士が手を組み本腰を入れることで大きく動き出そうとしているという話です。
そして、美容室の経営改善、美容師さんの職能・職域拡大に寄与するものです。
今は、顧客から「個客」の時代と言われます。今回のインプレアがまさにそうですが「一人ひとりに合ったものを提案」することが求められています。
化粧品の最大の販売チャネルはドラッグストアですが、お客さまが棚から自分で選ぶセルフ流通では個客対応は困難です。
「お客さまが1回に1~2時間滞在し、定期的に通う」という美容室こそがうってつけです。美容室の特性、美容師さんのカウンセリング力・提案力、美容師さんとお客さまの深い信頼関係がなければ成り立ちません。
ビュートピアでは今後も、美容室での化粧品販売に注目していきたいと思います。