
ここ数年、女性の間で一大ブームとなったショートヘア。しかしその勢いがやや落ち着きを見せ、今では“伸ばし中”の女性も少なくありません。一方で、男性にもミディアムやロングといった「長めスタイル」に挑戦する動きが拡大中。
男女問わず「髪を伸ばす」傾向が見えてきた今、サロン現場ではどのような変化が起きているのでしょうか。調査データをもとに、ヘアスタイルを通じた価値観の変化と、それにどう応えるかのヒントを探ります。
文・作表 田中公子(ホットペッパービューティーアカデミー研究員)
目次
①女性のショートブームがひと段落?「伸ばす人」が増加中

まず始めに、今回の調査では男女の髪の長さを下記の4つに分類して解説しています。
髪の長さの分類
・ショート(ベリーショートとショートの合計)
・ミディアム(肩にかかるくらいまでの長さ)
・セミロング(肩と胸の間くらいの長さ)
・ロング(セミロングより長い)
女性の「ショート」比率の年次推移を見ていきましょう。
2022年にピークを迎えた女性のショート比率(32.2%)は、2024年には29.6%までやや下降。
コロナ禍では「おうち時間でもまとまりやすい」「清潔感がある」などの理由からショートヘアが注目されましたが、行動制限の緩和とともに“伸ばしたい”というニーズが再びじわじわと回復しているようです。
②10代女性の「ロング回帰」が顕著に。前年から10ポイント超の上昇

年齢別に見ると、特に10代後半女性のロング志向が顕著。
2020年に18.7%だったロング比率は、2024年には29.0%と、10ポイント超の上昇を記録しました。
韓国カルチャーの影響や、巻き髪・カラーなどのアレンジを楽しみたいといったニーズの上昇も背景にあると考えられます。
③現状の髪型はミディアム派が最多。セミロング・ロングは合計4割超

2024年時点で、女性の髪の長さでもっとも多いのは「ミディアム」で32.0%。
次いで「セミロング」24.3%、「ロング」14.1%と、セミロング以上の“長め”スタイルが全体の約4割を占めています。

この傾向はここ数年でも安定しており、過去5年のデータを見ても、ミディアムは常に3割以上をキープ。
セミロングとロングもゆるやかに増加傾向を示しています。
特にセミロングは、2022年に一時23.7%まで落ち込んだものの、2024年には24.3%と回復傾向に。
ロングも2022年の13.1%から14.1%に上昇しており、徐々に“長さを楽しむ”スタイルへの回帰が見られます。
>> ④男性の「ミディアム以上」が3年で約3ポイント上昇。存在感を増すロング男性
