
日々の業務で「LINE公式アカウント」を活用しているという、Number76 Tokyoの五味由理奈さん㊧と砂田恵理子さん㊨
使っていない人を探すほうが難しいほど、生活に浸透したコミュニケーションアプリ「LINE」。そのLINE上で企業や店舗とユーザーをつなぐサービスが「LINE公式アカウント」だ。実際に美容室でもLINE公式アカウントを活用し、お客さまにメッセージやクーポンを配信するケースが増えている。
外国人客も多く訪れる表参道のNumber76 Tokyoでは、「もはや毎日の業務に欠かせない」というほどLINE公式アカウントの機能「LINEチャット」をお客さまとのコミュニケーションに活用しているという。ベテラン美容師の五味由理奈さんと砂田恵理子さんにその活用法をうかがった。
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自然におしゃべりしているような「LINEチャット」
表参道ヒルズからほど近い場所に店舗を構えるNumber76 Tokyoは、ハイセンスで落ち着いた雰囲気が漂う。日本ではこの1店舗だが、マレーシアに4店、シンガポールに1店、ジャカルタに1店を展開している。海外のインフルエンサーに取り上げられたこともあり、全体の8割ちかくを外国人客が占めるというサロンだ。
五味さんは22年、砂田さんは21年、サロンが今の名前になる前から勤めている。
2人は「お客さまとのコミュニケーション手段として、LINEチャットは本当に便利だ」と口をそろえる。LINEチャットとはLINE公式アカウントの機能の一つで、友だち追加してくれたユーザーと1対1でやりとりすることができる。

「LINE公式アカウントを利用し始めたのはコロナ禍の頃です。オーナーに『便利そうなものがあるよ』と言われたことがきっかけでした。実際にLINEチャットを使ってやりとりしてみると、メールなどに比べて、お客さまと近い距離でコミュニケーションをとれるのがすごくいいと思いました。自然におしゃべりをしているような感じがします」(砂田さん)
「LINE公式アカウントの運用は特に難しい操作もないので、7人のスタッフ全員が担当するお客さまとのコミュニケーションなどに気軽に使っています」(五味さん)

来店前のカウンセリングでトラブル防止
LINEチャットが最も効果を発揮するのは、来店前のカウンセリングだ。美容室にとって、施術の仕上がりに関するトラブルや、お客さまに「想像より高かった」と思われてしまう料金トラブルは悩みの種。しかし、事前にLINEチャットで確認をとることで、こうしたリスクを未然に回避することができる。
たとえばヘアカラーの場合、今の髪色となりたい髪色によってブリーチの必要有無が変わる。しかし、ブリーチをすると料金が数千円は変わるため、不当に感じるお客さまや十分な説明がなかったと、いきどおるお客さまもいる。サロンに来てから、お客さまがその場で希望を伝え、スタッフが誤解のないよう説明するのは、お互いにちょっとしたストレスになることも。事前に画像を用いて確認し、合意を得ることは双方にとって大きなメリットだ。
「来店前に希望のヘアスタイルや今のご自身の髪の状態などを画像で送っていただければ、ブリーチが必要か、デザインをどうするのか、料金はいくらになるかを確認できます。ハイライトを入れるか、バレイヤージュにするか、あらかじめ美容師とお客さまで認識を合わせておけば、当日の施術がとてもスムーズになりますし、トラブルにもならないんです」(五味さん)

また、言葉が伝わりにくい外国人客とのコミュニケーションにおいても、LINEチャットを用いた事前カウンセリングは便利だという。
「海外のお客さまとは来日前にやり取りすることもよくあります。事前にカウンセリングをして、料金も確認していただくことで、日本のお客さまにも海外のお客さまにも安心してご利用いただいています」(砂田さん)
事前にカウンセリングした内容や施術メニューなどは、LINEチャットのノート機能に記録し、簡単なカルテとして活用している。担当者が変わっても、ノートに記録している内容を確認してスムーズに施術を行うことができるのだ。

連絡のスムーズさ、既読がわかるメリットも
カウンセリング以外のLINEチャットのコミュニケーションのしやすさについても、五味さんと砂田さんは評価しているという。
「お客さまが遅刻される際も、LINEチャットを利用し始めてからは連絡がスムーズです。お客さまからしたら、電車の中で電話をかけづらくてもLINEならすぐに送れるので連絡がしやすいのだと思います」(五味さん)
同じく情報発信やコミュニケーションがとれるメールや他社SNSのDMと比べても便利な点が多い。
「メールと違って既読がわかるのは便利ですね。お客さまの返信がなくても、こちらからのメッセージをお客さまにちゃんと読んでいただけていることが一目でわかります」(砂田さん)
