年収の壁を巡る協議が決裂!? 宮原健太の週刊タイパニュース(69)

特集・インタビュー
年収の壁を巡る協議が決裂!? 宮原健太の週刊タイパニュース(69)

昨年からニュースで話題になっていた年収の壁引き上げ

ここにきて、自民党公明党の与党と国民民主党の協議が決裂してしまいました。

今回の「週刊タイパニュース」では、引き続き国会の最新情勢について解説します。

年収の壁引き上げで話し合いが頓挫!?

こんにちは!ジャーナリストでVTuberとしても活動している宮原健太です。

これ以上働くと所得税を支払わなければいけなくなる「年収の壁」

壁の存在によって働く意欲が損なわれているとして、国民民主党がその引き上げを政策として掲げていることについては、「働き方が変わる?『103万円の壁』の行方」でも解説しました。

しかし、ここにきて、その政策協議が頓挫してしまったのです。 一体何があったのでしょうか。

もともと178万円を目指していたが…

この「103万円の壁」を巡っては、もともと自民党と公明党、国民民主党が178万円を目指して引き上げることで合意していました。

現在、自民党と公明党は衆議院で過半数を確保できていない状態なので、一部野党から協力を得るために、野党の政策を受け入れようとしたわけですね。

しかし、政府与党は財源が足りないことを理由に、引き上げについては123万円という非常に低い数字を出してきました。

国民民主党は小幅な引き上げでは不十分であると主張し、その代案として156万円という水準を提案したのです。

それぞれの数字の意味とは?

ここまで、様々な数字が出てきましたが、その意味について簡単に見ていきましょう。

最初に出ていた178万円というのは最低賃金の額を参考にした金額でした。

そもそも「103万円の壁」というのは1995年に作られたのですが、そのときに比べると最低賃金が1.73倍になっているので、壁もそれに合わせて引き上げないと、十分に働けなくなっているという理屈ですね。

一方で、自民党が提案した123万円というのは1995年と比べた物価上昇率を参考にしています。

生活にかかるコストが物価上昇によって増えているので、その分、非課税にする枠を増やして生活を守ろうという理屈です。

そして、最後に国民民主党が出した156万円というのは、生活保護費に基づいています。

働くことができない人が非課税で156万円まで受給しているのだから、それよりも年収の低い人から税金を取るのをやめようという考え方なわけですね。

年収の壁引き上げについては様々な数字が飛び交うように

さらに複雑な年収の壁が作られることに!?

このように、様々な理由をつけながら、互いに数字を出し合っていたのですが、国民民主党としては156万円を最後の砦として交渉していました。

しかし、それに対して自民党と公明党は非常に複雑な年収の壁をさらに構築することを提案してきたのです。

一体、年収の壁はどうなってしまうのか。

次回も議論の行方について引き続き解説します!

ぜひ、お楽しみに!

宮原健太(フリージャーナリスト・記者YouTuber)

宮原 健太

ジャーナリスト、YouTuber

1992年生まれ。2015年に東京大学文学部を卒業し、毎日新聞社に入社。宮崎、福岡でさまざまな事件、事故、災害現場の報道に携わった後、東京政治部で官邸や国会、政党や省庁などを取材。自民党の安倍晋三首相や立憲民主党の枝野幸男代表の番記者などを務めた。2023年に独立してフリーで活動を開始。文春や集英社、PRESIDENT Onlineや現代ビジネスなど様々な媒体に記事を寄稿している。YouTubeチャンネル「記者VTuberブンヤ新太」ではバーチャルYouTuberとしても活動しており、日々のニュースを分かりやすく解説している。​

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編集/大徳明子 文・図表/宮原健太(ジャーナリスト)

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