黒字店舗を引き継ぐことで、フランチャイザー(本部側)とフランチャイジー(加盟店)の両方が成長を続けているというTRUTH(トゥルース)グループ。
フランチャイズ(のれん分け)の成功の極意について、天野雅晴(あまのまさはる)社長は、一緒に成長していける関係が何より大切だと考えている。
黒字の店舗をそっくり渡す
── トゥルースでは業績のよい店舗をフランチャイズオーナーに引き継いでいるそうですね。それはなぜでしょうか?
一番の理由は、成功してもらうため。いきなり赤字の店舗を渡されたら、誰だってやっていけないですよね。初めから苦労ばかりしていたら、挫けちゃう人も多いです。
私自身、独立したばかりの頃は大変でした。フランチャイズのオーナーには、最初から黒字の店舗を引き継いでもらって、安心してスタートを切れるようにしてるんです。なかには赤字に転じる店舗もありますが、基本的には黒字の状態を維持できるようになっています。実際、多くのオーナーが1年目から利益を上げています。例えば、あるオーナーは1年半で年商1億円を超えました。
黒字店舗を渡してしまうわけですから、本部の財政的には痛いです。独立が続いて一時的に本部が赤字になったこともあります。税理士に「どうして儲かっているお店を渡すんですか!?」と言われちゃいました。
── 本部と加盟店はどのような契約になっているのですか?
月々の売上からレンタル料やロイヤリティを少しずつ引いていき、オーナーが安定して利益を出せるようにサポートしています。
例えば、月に500万円の売り上げを出している店舗があったら、それを7年かけてレンタル料として回収するんです。年間3000万円をレンタル料としてもらって、それに加えてロイヤリティとして5パーセントの利益をオーナーから受け取ります。7年後にはそのレンタル料がなくなるので、オーナーは丸儲けになるわけです。それまでは、売り上げから毎月レンタル料を支払ってもらう形ですね。
オーナーの条件は「成長意欲のある人」
── フランチャイズオーナーにはどんな人を選んでいるのですか?
勉強会に来て、一緒に成長していける人や成長意欲がない人にオーナーは任せられません。
どのように新しい店舗を開いていくか、また既存の店舗をどう改善するか。オーナー同士で情報を共有し合うことで、お互いに助け合えるようにしています。私もその場でどうやったら売り上げを上げられるか、どうやったら経営がスムーズに進むかを一緒に考えています。
経営者仲間との勉強会で語り合う
── 天野社長自身も熱心に学んでいらっしゃるそうですね。
もちろんです。経営者仲間であるFORTE(フォルテ)の鈴木浩一朗社長、PROGRESS(プログレス)の金子憲治社長、KENJÉ(ケンジ)の西山和平社長と、フランチャイズのさまざまな課題を語り合う勉強会を4月にはじめました。
── そうそうたる顔ぶれですね。そこではどんなことを課題とされているんですか?
フランチャイズ全体をどうまとめていくか、例えば、フランチャイズオーナーが本部に無許可で営業時間を勝手に変えたりすることで問題が起きる。ルールを守らないオーナーに対して、本部側から強い姿勢で対応する必要があるのですが、それができずに関係が悪化してしまう……など、共通の問題意識があります。
本部とフランチャイズオーナーとの関係が大事
── 天野社長が考えるフランチャイズの成功の最も重要な要素は何でしょうか?
オーナーと本部の関係がうまくいかないといろいろと問題が起きやすい。だから、フランチャイズオーナーとしっかりコミュニケーションを取り、本音で話すことを心がけています。
フランチャイズのオーナーたちも、私にとっては一生の仲間ですから、お互いに信頼して、一緒に成長していける関係を築くことが何よりも大切です。失敗してもいいんです。1年目に一つの店舗で経験を積んでもらって、2年目、3年目には複数の店舗を展開できるように支援しています。
オーナーたちが成功すれば、本部も成功するし、逆もまた然り。だからこそ、お金を稼ぐことよりも、まずは信頼関係を築くこと。それがフランチャイズ成功の鍵だと思います。
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取材/大徳明子 文/曽田照子 撮影/横山翔平