カラフルな四角い形のスタイリング剤、デミ コスメティクスの「ウェーボ デザインキューブ」を愛用しているサロンは多い。しかし、この人気商品が実はあるサロンからの持ち込み企画から誕生したと知る人は少ない。誕生秘話とデザインの理由を、龍村和久プレジデントにうかがった。
サロンからの提案で商品化
龍村さんが手がけた商品で、特に印象に残っている商品は、プレジデントに就任した1年後、2007年に発売したスタイリング剤「ウェーボ デザインキューブ(以下キューブ)」だという。カラフルな色使いと、立方体のユニークなパッケージが印象的な商品は大ヒットして、今も多くのサロンから支持されている。
この商品はあるサロンの持ち込み企画だったという。
神戸にある「no one else」の富永寛康さんと食事をしているときに「デミはもっと力があるはずなのに全然売れなくて悔しい。こういうのを作ったほうがいい」とスタイリング剤の企画を持ち込んでくれた。
昔からデミのファンでいてくれた富永さんの言葉に、龍村さんは「富永さん、これこのまま売る、すぐ商品化する」と即決し、さらに「この商品の監修をしてほしい」と依頼した。
企画者であり美容のプロである富永さんを信頼して任せることを即決したのだ。
龍村さんが富永さんに「任せる」という決断をしたことが、サロン目線の使いやすいヒット商品が生まれるきっかけになったのだ。
「丸“以外”にしてほしい」とデザイナーに丸投げ
この「キューブ」を世に出すにあたって、龍村さんはもうひとつ「任せる」を実践している。
現在もそうだが、当時、スタイリング剤の容器といえば円柱形と決まっていた。しかし既存品と同じ形ではこの商品の新しさが伝わらない。形から斬新さが伝わるようにならないか。そう考えた龍村さんは「ジャーは丸“以外”の形にしてほしい」とデザイナーに伝えた。
「丸“以外”」だけでノーアイデア、ノーコンセプト。デザイナーに「任せる」だ。
すると、真四角が出てきたんですよ。(龍村さん)
任されたデザイナーは、これまでにない斬新な色と形を提案してきた。四角いジャーなど前代未聞だ。とにかく目を引く。商品を目にした誰もが最初はそのインパクトに驚き、そして、その使い勝手の良さにもう一度驚いた。他にはないビジュアルと中身の確かさ、両方が相まって「キューブ」は大ヒット商品となった。
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取材/大徳明子 文/曽田照子 撮影/横山翔平
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