若年層の集客に「TikTok(ティックトック)」を活用しているという美容師さんも少しずつ増えているのではないでしょうか?
女子高生に人気の動画共有アプリというイメージが強いTikTokですが、運営を担うByteDance社が、都道府県との連携協定を初めて締結しました。TikTokはいま「幅広い世代が楽しめるプラットフォーム」へ変わろうとしています。
幅広い世代にリーチできるようになれば集客ツールとしての価値も高まるはず。美容師YouTuberの影に隠れがちですが、今回はTikTokをクローズアップします。
美容師さんのTikTok利用は進んでいる?
TikTokで「#美容師」のハッシュタグがついた動画は、2億8800万回も視聴されています(2019年12月2日現在)。こちらは視聴回数なので、動画が何本あるのか、特定の人気動画だけが見られているのかは残念ながらわかりません。
画面上部の「ユーザー」をクリックすると、名前に「美容師」と入れているユーザーの一覧が表示されます。GARDENなど有名美容室の方も登録されていますね。
フォロワー数の順に並び替えることはできないのですが、有名なのは、64万3000人のフォロワーを擁する名古屋・ADOR(アドール)の森友二さん(@moriyuji6615)。ただ、森さんはモデルのお仕事と兼務していて美容師としてはアシスタント。投稿内容もヘアスタイルではなく自身の女装姿や日常生活になっています。
ヘアアレンジなどの動画を上げる美容師TikTokerでは、神戸・hardi EAST(アルディ イースト)の鶴谷和俊さん(@tsurutani_k)が19万9300人と圧倒的です。
名古屋や神戸など地方都市の方が人気になっているように立地がハンディにならないのはSNSの利点ですね。しかし、フォロワー数が数十人、数百人の方がかなり多いので、TikTokで人気を集めるのは簡単なことではなさそうです。フォロワーの多い美容師さんは「エクステ」「パーマ」「アニ髪」など、的を絞って訴求しています。
それでは、他のSNSやポータルサイトからTikTokへの誘導はどのくらいされているのでしょうか?
Instagramのハッシュタグでは「#美容師tiktokker」が134件、「# tiktok美容師」が79件。プロフィールに「TicTokもやっています!」などと書いているケースなら結構あるのですが、ハッシュタグではこうなりました。
また、ホットペッパービューティーでスタイリストのプロフィールなどに「TikTok」を入れているのは25サロン。意外と少ないですね。(スペースを空けて「Tik Tok」だと39件に増えますが、TOKIOトリートメントと他の単語の組み合わせが多いので外しました)
TikTokを積極的に活用している美容師さんも増えつつはあるけれど、まだまだ浸透していないというのが現状でしょうか。
神奈川県のTikTok活用。第1弾は「SDGsの自分ごと化」
今回、ビュートピア編集部が注目したニュースは、こちら。11月21日付で、神奈川県が都道府県としては初めて、TikTokの活用で連携協定を結んだというものです。
神奈川県では、情報発信・広報のために活用するとし、第1弾として、神奈川県のSDGs(持続可能な開発目標)推進を目的としたキャンペーンを実施します。オリジナル曲を使った「チャレンジ」(※)の制作をうながすことで「SDGsの自分ごと化」を推進し、ユーザー参加型の新たな情報発信を目指すとのことです。
※TikTokのチャレンジとは、投稿動画の“お題”となるハッシュタグのこと
このチャレンジは、TikTokグローバルハッシュタグチャレンジ「#未来の地球のために」との連動企画なのもポイント。地球環境を守るために今できることを動画で投稿するキャンペーンで、このハッシュタグをつけることで、県内や国内だけでなく世界中で視聴されるため、拡散の可能性が広がります。
女子高生御用達から幅広い世代へ! 変わろうとするTikTok
神奈川県の公式アカウント(@kanagawapref)の12月2日現在のフォロワーは1400人。正直な話、このチャレンジが爆発的成功を収めるとは思っていません。それでも今回取り上げたのは、女子高生やダンス動画のイメージが強すぎるためニッチなニーズに思われがちなTikTokが変わろうとしているからです。
TikTokは2018年7月からテレビCMをスタート。「TikTokは風景やスポーツ、ペットなど様々な動画を幅広い世代が楽しめるプラットフォーム」であることをアピールしています。上戸彩さんを始め、若手女優やお笑い芸人をどんどん起用している様子を見て「ずいぶん、お金をかけているな」と気になった方もいるのではないでしょうか。
実は2019年1月に、TikTok内で広告を配信するためのプラットフォーム「TikTok Ads」を全面リニューアルしています。一般企業からTikTok内への広告出稿を増やしたいByteDance社としては、女子高生だけではなく幅広い世代に多くのユーザーを抱えたいですよね。この流れを踏まえると、都道府県や公的なものとの連携についても、これを皮切りに増やしていくのではないでしょうか。
そして運営の思惑通り、幅広い世代にリーチできるようになれば、TikTokの集客ツールとしての価値も高まります。
いよいよ2020年には、5Gがスタートして「動画の時代」が到来すると言われていますが、その時、美容室の集客につなげやすいのはYouTubeなのかTikTokや17Liveなのか、はたまた他のプラットフォームなのでしょうか? 引き続き、注視していきたいと思います。
▽神奈川県の公式アカウント
【公式】神奈川県庁〜Kanagawa〜
@kanagawapref
https://vt.tiktok.com/RhPsaQ