脇役が主役になる線香 薫寿堂「アンドインセンス」

プロダクト・技術
脇役が主役になる線香 薫寿堂「アンドインセンス」

自ら先頭に立って開発を進めた福永稔社長

お香はブレンドしてつくれられる。そのレシピは線香各社にとって秘伝のものだ。

1893年(明治26年)創業の薫寿堂(くんじゅどう)が、そのブレンドの元となる素材、ふだんは脇役の素材をそのまま主役にして製品化し、話題を呼んでいる。

素材そのものの香りを楽しむ

伽羅(きゃら)に沈香(じんこう)、白檀(びゃくだん)。種類ごとに香りだけでなく色合いも異なる

今年8月に発売された「&INCENSE(アンドインセンス)」は、伽羅(きゃら)や沈香(じんこう)、白檀(びゃくだん)といった線香の素材をそのまま商品化したもの。

単品で使えば、雑味のない芳香が広がる。また、いくつかを炊き合わせて独自の香りを作るのも趣き深い。素材を組み合わせて製品化する線香に、薫寿堂はあえて真逆の発想を取り入れた。

秘伝のレシピはメーカーの押しつけだと思った

香材ひとつひとつを稀少な地球資源と捉えた。極限まで細くすることで香材の香り立ちが繊細かつ純粋に匂い立つように設計している

発売に先駆け、6月に東京ビッグサイトで開催されたインテリアライフスタイルに出品し、先頭に立って開発を進めたという福永稔社長が自ら商品の説明に当たった。

きっかけは「ブレンドして独自の香りを作る。それが秘伝のレシピ。でも、メーカーの押しつけではないか」と思ったからだという。時代が移り変わり、香りの楽しみ方も多様になった現代だからこそ、素材そのものの香りを楽しむ「アンドインセンス」の開発に踏み切った。

薫寿堂(くんじゅどう)の「アンドインセンス」のブースで説明を行う福永稔社長
「脇役が主役になる線香です」(福永社長)

七味やカレー粉を自分好みにブレンドするように、線香もお客さまが自分で炊き合わせできるはず。同社の長い歴史のなかでこれまでなかった試みだ。

線香発祥の地である淡路島で昨年に創業130年を迎えた薫寿堂。伝統を守りつつ、令和の世に新たな挑戦を続けている。

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取材・文・撮影/大徳明子 文/湯澤康洋

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