経済対策は国会でどう議論されているの? 宮原健太の週刊タイパニュース(4)

特集・インタビュー
経済対策は国会でどう議論されているの? 宮原健太の週刊タイパニュース(4)

物価高に対して政府は何をしようとしているのか。前回の記事「政府が打ち出した経済対策とは?」では、政府の政策について解説しました。

さて、こういった経済対策は国会ではどのように議論されているのでしょうか?

週刊タイパニュース」の連載第4回では、国会の仕組みについて取り上げます。

国会の議論はどのように行われる?

こんにちは! ジャーナリストでVTuberとしても活動している宮原健太です。

前回は物価高に対して政府が打ち出した経済対策について解説しました。

さて、このような経済対策は国会でどのように議論されているのでしょうか?

政府は国のお金を勝手に使えない

実は、政府が新しく経済対策などを実施するとき、勝手に国のお金を使うことはできません。

事前に予算案というものを作成し、それを国会で議論して、可決、成立させなければ、お金は使えないという仕組みになっているのです。

この仕組みを、政府が国のお金(財政)を動かすときに、国会での議論という民主主義に基づく手続きを経なければいけないことから、財政民主主義と呼んでいます。

財政民主主義、政府、国会、経済対策の図
国会での議論を経て、政府は初めて国のお金を使うことができる

今回も補正予算を作って議論

岸田文雄首相が今回打ち出した経済対策についても、新しく補正予算というものを作り、国会で議論しました。

もともと予定していたものではなく、物価高という緊急事態を受けて作った予算であるため、“補正”予算というわけですね。

それに対して、政府が年度ごとに作っている年間予算は本予算当初予算などと呼び、毎年3月末までに2カ月間ぐらいかけてじっくりと議論されます。

国会でスキャンダルばかり注目される理由

しかし、この国会での議論は、予算について話し合っている姿よりも、政府の不祥事や大臣のスキャンダルを追及するような場面がニュースで取り上げられることが多いですよね。

実は、これには理由があります。政府が提出した予算案は、国会でいくら議論しても中身が変わることがほとんどないのです。

途中で予算案の内容を修正することは可能なのですが、国会では政府が提出したものをそのまま可決するか、否決するかだけを選ぶのが慣例になっています。

そして、当たり前ですが、政府与党が国会では多数派を握っているため、多くの予算案はそのまま成立するのです。

予算についていくら議論しても、その中身が変わることがないなら、意味がないと思ってしまいますよね。

そのため、国会の議論は不祥事やスキャンダルの追及がメインになってしまうことが多いのです。

おかしな常識は変えないといけないけれど…

このような、国会のおかしな常識は変えていかなければならないと私は思っているのですが、今のところ、その兆しはありません。

もっと、国会の議論が意味のある形になっていって欲しいですよね。

ということで、「週刊タイパニュース」第1回から第4回にかけては、物価高の原因から経済対策、国会での議論についてまで解説をしていきました。

次回からは、また別のトピックを解説していきます。

ぜひ、お楽しみに!

宮原健太(フリージャーナリスト・記者YouTuber)

宮原 健太

ジャーナリスト、YouTuber

1992年生まれ。2015年に東京大学文学部を卒業し、毎日新聞社に入社。宮崎、福岡でさまざまな事件、事故、災害現場の報道に携わった後、東京政治部で官邸や国会、政党や省庁などを取材。自民党の安倍晋三首相や立憲民主党の枝野幸男代表の番記者などを務めた。2023年に独立してフリーで活動を開始。文春や集英社、PRESIDENT Onlineや現代ビジネスなど様々な媒体に記事を寄稿している。YouTubeチャンネル「記者VTuberブンヤ新太」ではバーチャルYouTuberとしても活動しており、日々のニュースを分かりやすく解説している。​

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編集/大徳明子 文・図表/宮原健太(ジャーナリスト)

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