美容室を企業として存続していくうえで欠かせない事業承継。一般社団法人プログレス(全国美容経営協会)による「美容経営シンポジウム2023」は、『動く・組織を繋ぐ』をテーマに開催された。
美容業界における変化と進化
今年の「美容経営シンポジウム」は、7月25日にお台場のグランドニッコー東京で開催された。
シンポジウムの冒頭、全体ファシリテータ役を務める、株式会社アルテサロンホールディングスの代表取締役会長・吉原直樹氏より、開会の挨拶があった。
私は美容サロンを始めて40年近くになりますが、最近とくに感じることは、一つのブランドを40年続けることはとても大変なことで、難しいことだということです。
私ども美容業界は、これまで大きな栄枯盛衰の波を経験してきました。「職人の時代」(1945~65年)から「技術者の時代」(1965~85年)へ、そして「ヘアデザイナーの時代」(1985~2005年)を経て、いまやインターネットやSNSを駆使して自身や事業をいかにブランディングし発信するかが問われる「プロデューサーの時代」(2005~25年)へと、大きく進化し続けています。
そして、その進化はこれからも続いていきます。その大きな変化と進化の中で、いかにブランドを繋いでいくかが重要になります。
イノベーションとは、捨てつつ繋げること
その時に必要ことが、「イノベーション」です。イノベーションとは、これまでの技術や価値観の断絶であり、「繋がっていない」ことがイノベーションなのです。
たとえば、「スマホ」はイノベーションです。それまでの「電話」とは全く違う価値観のツールが生まれた。そして、毎年のように新しいツールが生まれ、それを使いこなす新しい時代の寵児、先駆者が生まれるのです。
私は、イノベーションとは、「何かを捨てること」、そして、「何かを繋ぐこと」だと思っています。
組織経営も同じです。組織は経営者の理念・想いから始まり、プロジェクト戦略を策定し、成長・拡大します。しかし、ある時、それらを捨て去らなければならない時があります。そうしないと、次のリーダーに継承していくことはできないのです。と同時に、繋げていくべき大切なものもあります。
美容業界の未来へのイノベーションを考える
個人経営が多い美容業界では、いま、高齢化による後継者不足など、次世代への事業継承が課題です。
事業承継において、捨てるべきものは何か、そして、繋ぐべきものは何かーー。それを明確にすることによって、組織は永続することができ、ブランドは続いていくことができるのだと思います。
今日は、何代にも渡って理美容事業を継承されている経営者や、新たに先駆的な美容ビジネスを立ち上げられた経営者の方々をお招きし、皆さんとともに、美容業界の未来へのイノベーションについて考えたいと思います。