こんにちは! 弁護士の松本隆です。
今回は連載第4回です。
いつも読んでくださっているみなさま、ありがとうございます。
さてさて、今回もヘアサロン経営者の方たちのお役に立つような情報を発信していきたいと思います!
毎回くどいですが、この記事は「ヘアサロン経営者向けにわかりやすく」をモットーに弁護士が書いています。
そのため、あえて内容をシンプルにしており、その結果、説明を省略している部分があります。
というわけで、この記事は「法律の話をざっくり理解すること」を目標にお読みください。
第4回は「解雇」です。
もしみなさんが経営する美容室に、挨拶をしない、他の従業員を怒鳴りつけるなどして、その場の雰囲気を悪くしてしまう従業員がいたら、どうしますか?
「辞めてくれないかな…」という思いが頭をよぎるかもしれません。
今回は、そんな従業員がいる場合に、経営者としてどうしたらいいのかを一緒に見ていきたいと思います。
ご存知かもしれませんが、解雇はそう簡単にできるものではありません。
従業員は、解雇されてしまうと仕事がなくなるので生活できなくなってしまいます。
会社が従業員を簡単に解雇できないように、法律によってがっちり守られているのです。
ただ、どんな場合にも解雇できないとなると、経営者の負担が大きくなりすぎますから、一定の条件を満たせば、解雇ができます。
労働契約法第16条には、解雇が客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、労働者をやめさせることはできないと定められています。
では、1)「客観的に合理的な理由」、2)「社会通念上相当」とは何でしょうか?
例えば、
・長期にわたって無断欠勤をしている
・労働時間内であるにもかかわらず仕事をしていない
・他の従業員と協調できず他の従業員の業務に支障がでている
など
が挙げられます。
もちろん、他にもさまざまなケースがあります。
「社会通念上相当」とは、わかりやすく言うと、「常識的に考えてOKでしょ」という意味です。
仮に問題のある行為をしている従業員がいたとしても、その従業員をいきなり解雇することはできません。
じゃあ、どういう場合に「社会通念上相当(常識的に考えてOK)」といえるでしょうか?
まず、解雇をする前段階として、「解雇せずに済むように一生懸命努力した」という事実が必要です。
例えば、
・問題になる行為をやめるよう一定期間指導を行った
・他の支店等に配置換えをした
・状況を改善するための研修を受けさせた
など
が挙げられます。
経営者側が努力をした、従業員にチャンスを与えたなど、手を尽くしたにもかかわらず、その従業員が態度を改めることがないため、解雇しなければサロンの運営が成り立たないという事情があって初めて、解雇は「社会通念上相当である」という結論になります。
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