④カラー、トリートメントの利用回数は東京都が全国1位!
まず1つ目は「カラー」の年間利用回数(来店回数)です。東京都が1位ですね。若年層を中心に人気の「ハイトーンカラー」をけん引しているのも東京都です。
ハイトーンカラーは、単価も高く、小まめに来店したケアも重要。ハイトーンカラーの利用者が多い=美容室への来店回数も増える、ということに繋がっているのでしょう。
そしてこれに連動して、もう一つのメニューも東京都が全国1位の利用回数です。
それはトリートメントの年間利用回数です。特にハイトーンカラーを利用すると、髪の乾燥など傷みも気になってくるもの。カラーの利用回数が増えると、トリートメントの利用回数も連動して増加します。
カラーに加えてトリートメントも利用すれば、当然、年間に使う金額も上昇します。このように東京都では、高付加価値メニューの利用回数が多いために年間利用総額が1位になっているのです。
⑤ネイルサロンの利用率、東京都を抑えて1位になったのは?
最後にご紹介するのはネイルサロンの利用率について。ネイルはファッションの延長として楽しまれている方も多いので、1位はトレンドに敏感な東京都…?と思われた方も多いかと思いますが、東京都を抑えて1位に躍り出たのは沖縄県でした。
なお、今回の調査は「居住している人」を対象にしているため観光利用は除いています。沖縄県が1位になる背景ですが、気候や文化(地域性)が関係しているのではないでしょうか。
沖縄は1年を通して暑く、夏のビジネスウェアには「かりゆし」というカジュアルな服装です。これもあり他県と比べて、全般的に職場の服飾規定も緩やかなように見受けられます。ネイルもその一つで、自由度が比較的高めなのかもしれませんね。また海外から移住してきた方も多いので、海外の文化・慣習が日常生活に入りやすいのかもしれません。
⑥美容サロンの利用は地域性に由来する?
このように美容サロンの利用は、美容のトレンドだけではなく、その都道府県ごとの地域性も影響しているのではないでしょうか。美容の消費は、コロナ禍にも影響を受けにくい「準必需」的な位置づけだと考えています。このため地域の生活・文化と密接に関係した消費のトレンドとなるのでしょう。
今回の調査では、大都市に一極集中する結果は少なく、地方都市が上位にランクインするデータもたくさんありました。美容サロンの消費は、全国的にまだまだ可能性があるということ、地域に根差したご提案にぜひ生かしていただければと思います。
データ出典
ホットペッパービューティーアカデミー
「都道府県別」20 代・30 代女性の美容意識・実態調査」(2022年8月)
調査対象:全国の20~39歳の女性(回収サンプル 23,361) ※都道府県の都市規模に応じて、n=600、または、n=400の目標値を設定。
田中 公子
ホットペッパービューティーアカデミー研究員
TANAKA KIMIKO/前職は経営コンサルティングファームでIT業界の業務改善に携わる。リクルート入社後、ホットペッパービューティーの事業企画を経て、2012年から現職。調査研究員として、「美容センサス」をはじめとする美容サロン利用調査や美容消費の兆しを発信。セミナー講演、業界誌・一般誌・テレビなど取材多数。共著に『美容師が知っておきたい50の数字』『美容師が知っておきたい54の真実』(女性モード社)ほか。