④DXを推進するサロンに通いたい?
「オンラインやデジタルツール」を活用する美容サロンへの利用意向は、男女とも半数前後が「利用したい」と回答。「利用したくない」は3%未満と非常に低い数字でした。つまり、同じような条件のサロンを比較した場合、ネット予約やキャッシュレス決済などが利用できるサロンのほうが選ばれる可能性が高い、と読み取れます。
前述したDXに対するカスタマーの好意的な意識からも、美容サロンにおいても「時間や手続きを効率化してほしい」というニーズが高いのかもしれません。
⑤美容サロンで「もっと短縮したい」時間は?
最後に、カスタマーは美容サロンのどんなところを効率化して欲しいと思っているのでしょうか? 「美容サロンで『もっと短縮したい』時間」を聞くと、男女とも1位は「受付」、2位が「会計・支払い」でした。
「受付」では、新規のお客さまはカルテ作成のために記入する時間が必要な場合もあります。また、「会計・支払い」にかかる時間をストレスに感じる人も多いということでしょう。これまでそれほどストレスに感じていなかった時間に対しても、情報量があふれ「やることの多い」現在の私たちは、どんどん時間に対して厳しくなっているのかもしれません。
⑥DXで顧客満足と従業員満足を実現!?
DXによる効率化は、例えば「キャッシュレス」や最近タクシーなどで導入が広がっている「オンライン決済」なども、カスタマーにとっては現金の受け渡しなどの「ちょっとした手間」を解消するにすぎません。ただ、その「ちょっとした手間」が解消されることで満足度が高まる、ということはよくあります。
また、ネット予約やキャッシュレスなどのDX導入は従業員満足にもつながっているようです。「台帳記入」の手間が減ったり、「レジ締め」の時間が減ったり…。
そのことで、労働時間の改善につながったという事例や、これまで出来なかった業務にも取り組めるようになったという事例をよくうかがいます。DXの推進によりお客さまと従業員両方の満足度向上につなげられるのではないでしょうか。
データ出典
ホットペッパービューティーアカデミー
「美容サロンのDXに関する利用意識・実態調査」(2022年7月)
調査対象:全国の20~49歳の男女各2,100人、美容サロン(美容室)過去1年以内利用者
田中 公子
ホットペッパービューティーアカデミー研究員
TANAKA KIMIKO/前職は経営コンサルティングファームでIT業界の業務改善に携わる。リクルート入社後、ホットペッパービューティーの事業企画を経て、2012年から現職。調査研究員として、「美容センサス」をはじめとする美容サロン利用調査や美容消費の兆しを発信。セミナー講演、業界誌・一般誌・テレビなど取材多数。共著に『美容師が知っておきたい50の数字』『美容師が知っておきたい54の真実』(女性モード社)ほか。