メンズサロンLIPPS、野村キャピタル・パートナーズと資本提携

経営・業界動向
メンズサロンLIPPS、野村キャピタル・パートナーズと資本提携

人気メンズサロン「LIPPS」の運営サポートとメンズコスメブランド「LIPPS BOY」の企画・販売を行う株式会社レスプリ。

2022年6月30日付で、株式会社リップスに社名を変更。野村證券で知られる野村グループの野村キャピタル・パートナーズ株式会社と資本提携した。

リップス、レスプリの2社を集約

これまでは、株式会社リップスが美容室を運営し、株式会社レスプリが運営サポートとオリジナルブランドの企画販売を行うという体制で、両社とも的場隆光氏が代表を務めていた。

資本提携を機に、祖業である美容室「LIPPS」の屋号を社名として掲げ、株式会社レスプリを株式会社リップスへ変更。認知度の向上とブランドイメージの醸成を図る考えだ。

なお、出資比率および金額は公表していない。

都内中心にメンズサロン23店舗

LIPPSは、1999年に1号店となる原宿店を出店。現在は都内を中心に、直営とフランチャイズあわせて23店舗を展開している。

メンズサロンLIPPS(リップス)の店舗一覧
LIPPS Ray GINZA店内には、メンズ専門のアイブローサロンを併設(画像は公式サイトより引用)

2021年1月には、メンズ専門のアイブローサロン「LIPPS BOY PRODUCE EYEBROW SALON」をLIPPS Ray GINZA店内にオープンするなど、意欲的に挑戦を続けている。

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メンズメイクを積極展開

10代~20代の若い男性客の多いLIPPSはメンズメイクと相性がよく、LIPPS BOYはサロン店販だけでなくロフトなどのバラエティーショップでも販売されている。

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「顔をトータルでスタイリングする」という発想で、洗顔料や化粧水などの“スキンケア”から、ファンデーションやコンシーラーなどの“ベースケア”、顔の印象を明るくする色つきリップクリームなどの“メイク”までを取りそろえる。

イメージモデルに俳優の杉野遥亮(すぎのようすけ)を起用するなど、プロモーションにも注力してきた。

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野村グループ内外のネットワークで支援

今回の資本提携にあたり、野村キャピタル・パートナーズは「メンズヘア・メンズビューティーのリーディング・カンパニーとしての地位を確立している」とLIPPSを高く評価。

「メンズビューティーのイノベーションを目指すリップスのさらなる成長を、野村グループ内外のネットワークを活かして支援していく」と明言している。

またリップスも「野村グループの豊富な資金と、人的な支援を含む様々なソリューション提供を通じて、当社が目指すメンズビューティーのイノベーションに向け、さらなる成長を加速させていく」という。

『日本のメンズヘアー文化を強みとした世界NO.1メンズビューティーブランド』を創り上げていくというミッション・ビジョンの実現に向けて、新たな挑戦が始まる。

美容室オリジナルブランドの可能性

有名サロンのプロダクツに大手資本が入るという今回の案件は、降ってわいたような話というわけではない。美容室のオリジナルブランドは近年、その存在感を増している。

有名どころでは、OCEAN TOKYO(オーシャントーキョー)のオリジナルブランド「オーシャントリコ(OCEAN TRICO)」。

配荷店舗数が多く、ドラッグストアの店頭にも並ぶ。ワンピースや呪術廻戦などの少年漫画・アニメとコラボした大がかりなプロモーションもたびたび話題になっている。

オーシャントーキョー『オーシャントリコ』のボディソープのワンピース(ONE PIECE)コラボビジュアル
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オーシャントーキョー(オーシャントリコ)×呪術廻戦コラボのプレゼントキャンペーン
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また2022年1月には、表参道の美容室broocH(ブローチ)が開発したオーガニックヘア&ボディケアブランド「LILAY(リレイ)」が、東証グロース(旧マザーズ)上場のジェイフロンティアに事業譲渡された。

ジェイフロンティアに事業譲渡された「リレイ(LILAY)」シリーズ
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美容室の知名度がとりたてて高いわけではないにもかかわらず、譲渡当時のLILAY取扱い店舗数は、美容サロン700店舗、バラエティーショップ500店舗に上る。

企業がいちから化粧品ブランドを開発するには時間も費用もかかるうえ、競合が多いため発売後もプロモーションなどのコストがかさむが、信頼と実績のある美容室のオリジナルブランドを買収すれば、そうしたコストも抑えられる。

業界は異なるが、映画やテレビの現場で、制作コストを抑えて一定の興行収入が見こめる“原作もの”が増えているのと共通するものがあるかもしれない。

日々、消費者と直に接するプロフェッショナルが開発したという強みを持つ美容室のオリジナルブランド。買収や資本提携先として、業界内外の注目が増していくことになりそうだ。

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文/大徳明子

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