日本ヘアデザイン協会(NHDK)は2022年7月26日、東京・青山のスパイラルホールでニューヘアモード発表会と東京ショーを開催した。
リアル開催は2年半ぶり。2022年のニューヘアモード「un jour(アン・ジュール)」や、協会員による多彩なパフォーマンスが披露された。
2部構成で幅広い技術披露
この日は、前半が「ニューヘアモード発表会」、後半は「東京ショー」の2部構成で行われた。
まずは、横田敏一理事長の挨拶で幕を開けた。コロナ禍を受けて昨年は動画配信で、今年2月には延期となるなど久しぶりのリアル開催。「2年半ぶりの開催でわくわくどきどきしている。日本デザイン協会らしい幅の広い技術を皆さんに堪能していただけると思う」と喜んだ。
「一歩踏み出し、ファッションやメイク楽しもう」
毎年NHDKが創作し、全世界に向けて発信しているニューヘアモード。全国から創作設定プロジェクト委員のメンバーが集結し、シーズンごとに会議を重ね、最新トレンドをつくりあげている。
発表会冒頭では、委員長の計良宏文氏が2022年のニューヘアモード「un jour(アン・ジュール)」を解説した。
アン・ジュールとはフランス語で「ある日、いつか」という意味。「コロナ禍でなかなか表に出ずらい時期でも、一歩踏み出して、明るくなってほしい、ファッションやメイクを楽しんでほしいという思いを込めて、新しいスタイルを提案した」とテーマの背景を語った。
ヘアスタイルの特徴については、「二つの異なるスタイルをミックスしている。たとえばボブにレイヤーを組み合わせるとか、よくあることだが、ずらしながら組み合わせることによってファッションとのバランスを考えていこうというスタイルになっている」と話した。
ジェンダーレスなショートヘア
その後は、創作設定プロジェクト副委員長の石渡智花氏と松木宏紀氏によって、ニューヘアモードの2つのヘアスタイルの技術解説が行われた。
ともに低めにウェイトのあるボブをベースに、大胆に切り込んだレイヤーの重なりがポイントのショートヘア。ジェンダーの多様性にも適用できるデザインとして、多くのお客さまに提案できるスタイルとなっている。
松木宏紀氏は、マッシュウルフベースに、鮮やかなライトグリーンのカラーが印象的なスタイルを解説。「バックにウェイトを残すというところからテーマを設定した」と今回のデザインポイントを語った。
カットポイント
マッシュウルフベースで顔まわりにレイヤーを入れタイトに、バックは盆のくぼより下をワンレンベースでウェイトを重めにする。トップはスクエアに切ることで、シルエットを少しボックス状になるようにカットする。
カラーポイント
全体を18レベルまでトーンアップし、顔まわりのヘムラインは6レベルのベージュと10%ブルーバイオレットをいれる。残りの部分は12レベルのベージュに10%ブルーバイオレットを入れ15分程放置。
スタイリングポイント
ドライな状態でストレートアイロンを使用し毛先に動きをつけ、ファイバーワックスでスクランチしながら束感を出してフォルムを作る。
石渡智花氏は、ジェンダーレスな印象のボブベースのスタイルを説明。「普通のボブではなく、もっとスパイシーで、勢いのある、そして多様性のあるボブスタイル」とポイントを語った。
カラーポイント
トップセクションのみブラック又は重厚感のあるダークトーン。そのほかの部分は15レベルまでトーンアップして8レベルのチェリーブラウンで彩色。
スタイリングポイント
セミウェットにした後、全体にオイル感が強めのアウトバストリートメントを塗布し透け感のある毛束を作る。
サロンスタイルからクリエイティブまで応用も
さらにその後は、創作設定プロジェクト委員の篠谷信寛氏、調秀明氏、中川泰貴氏、原口裕匡氏によって、サロンで使えるバリエーションが披露された。
また、ラストは計良宏文氏が再び登場。ニューヘアモードを発展させたクリエイティブなショーが行われ、ニューヘアモード発表会は幕を閉じた。
東京ショーも華々しく
後半の東京ショーは、「継承~受け継がれる技と感性~」がテーマ。
東日本地区会員を中心としたメンバーによって、バリエーション豊かなステージがくり広げられた。
文/杉野碧