お客さまを分析! アプローチを変える
集客の重要性も安からぬ費用も知っているHAVANAのスタッフは、サロンボードを徹底的に活用するのだという。
「サロンボードが便利なのは、お客さまをカテゴライズできることです。1、2、3カ月と来店周期で自動的に分けてくれるので、タイミングよくメッセージを送れます」
“周期でなくても12月は来店されるだろうから2カ月周期のお客さまには10月にレタッチヘアカラーを案内する”など、年間スケジュールを考慮した一段上のアプローチを図っているという。
「ハガキやメルマガをお客さまごとに出しわけるのは大変ですが、サロンボードならお客さまの状態に合わせてメッセージを送れるのでコミュニケーションが取りやすい。しばらく来ていないお客さまにも、特別クーポンをつけることで気がねなく声をかけられるのは画期的ですよね」と満足げだ。
悪い口コミは改善のきっかけ
コミュニケーションについては、口コミの返信も大事にしている。
「悪い口コミに対しても言い訳せず、誠意を持って返信することを徹底しています。返信はちゃんとしていても、スタッフ同士では『クレーマー気質な相手だったよね』で終わらせているようならダメです」と塚越さんは指摘する。
「きちんと説明できていたか、声がけは十分だったかと一つひとつ確認していくと『バタバタしていたので説明をはしょってしまった』など、何かしら理由は出てくるものです」
HAVANAでは、悪い口コミは全店舗で共有し、改善につなげているという。
同級生2人が海外で再会
集客でも売り上げでも成果をあげているHAVANA。リピート顧客の売上見込を立て、月間売上目標をクリアするには新規集客がどれだけ必要かを分析して対応策を打つなど、経営計画にもサロンボードを余さず活用している。
その活用レベルの高さから、経営者がIT業界の出身者なのか、IT企業の資本が入っているのかと聞かれることもあるというが「全然そんなことはないです。僕と代表の塩澤は美容学校の同級生です」と笑う。
最初の美容室に6年勤めた後、塚越さんはイギリスに渡り、現地のサロンで活躍。その後、ニューヨークで再会し、独立するという塩澤さんと一緒にやることを決めたという。
「渋谷と新宿が同じくらいの時期にできて11人で始めたんですけど、4年目を迎えた今は14店舗に。スタッフも84人となりました。9月にも渋谷に『1 HAVANA(エース ハバナ)』をオープンします」
「ゴールドプライズサロン」の価値
慢性的な人出不足の美容業界で順調に出店できたのは「僕たちの考えに共感してくれる人が多くて、スタッフが順調に集まったから」だと、塚越さんは振り返る。
ホットペッパービューティーアワードのゴールドプライズ受賞サロンであることは、お客さまに対して人気のサロンであるというアピールになるのはもちろんのこと、実は美容師の求人にも役立っている。
「リクルートという広告媒体を集客だけのツールにしないで、求人にもつなげたことはとても大きかったと思います」
ホットペッパービューティーを利用する理美容室が5万軒に上るなか、路面の大型店でもなければ、カリスマ美容師がいるわけでも特定のメニューが強いわけでもない、いわゆる普通の美容室であるHAVANAが2年連続でゴールドプライズ受賞という偉業を達成した。
その背景に、徹底したサロンボードの活用による集客と求人の成功があったことは、多くの美容室にとって今後のヒントになりそうだ。
HAVANA渋谷
2019年4月オープン。オープンの翌年、2020年に「ホットペッパービューティーアワード ベストサロン部門」(6~9席の部/関東)においてシルバープライズを受賞。2021年、2022年と2年連続でゴールドプライズ(6~9席の部/関東)を受賞。
▽住所=東京都渋谷区渋谷1-10-1八千代ビル8F
▽公式サイト=https://havana-official.com/home
▽ホットペッパービューティー=https://beauty.hotpepper.jp/slnH000444257/
塚越 影正
つかごし・かげまさ/HAVANA統括代表
ハリウッド美容学校を卒業後、大手サロンにて勤務。ロンドン、ニューヨークで活躍した後に帰国。美容学校の同級生だった塩澤宏氏が立ち上げた株式会社エスアイオーに参加。2019年4月オープンのHAVANA渋谷店を店長兼統括ディレクターとして人気店に押し上げる。
取材・文/大徳明子 撮影/渡部実加子