メニューをカットとカラーに絞り、通いやすい価格のメンテナンスサロン「チョキペタ」。
運営元のアルテ サロン ホールディングスは2022年7月7日、「チョキペタ」の採用者数が前年比2倍、応募者数も1.3倍と好調なことを明らかにした。
採用者のうち44%は、美容師としてのブランクがある「休眠美容師」。独自の働きやすい環境が支持を集めている。
目次
300人以上の休眠美容師採用
アルテ サロン HDによると、「チョキペタ」の2022年の採用者数は前年比2倍、応募者数も同1.3倍と好調だった。
また、新しく採用した人のうち44%が、美容師としてのブランクがある「休眠美容師」。チョキペタ全体でも、約半数を元休眠美容師が占めている。
2011年7月のオープン当初から休眠美容師の復帰支援に積極的に取り組んでおり、これまで300人以上の休眠美容師を採用してきた実績がある。
ライフステージの変化に伴う課題
アルテ サロン HDが考える代表的な働き方の課題は、ライフステージの変化に伴うもの。休眠美容師になってから現場への復帰が難しい理由として、「子育て中の時間の制限」や「目まぐるしく移り変わるトレンドの中で美容技術の不安」「若手が多いサロンで40代以降の美容師が感じる年齢のハードル」などを挙げている。
また、店長のような責任のある立場を任される人も、売り上げ確保や後輩教育などのために十分なプライベート時間を確保することが困難になりがちだ。働きづらさの課題は、必ずしも子育て世代の女性だけに限らない。
さまざまな工夫で働きやすい環境つくる
そんな中でチョキペタが採用者数を増やしている理由をアルテ サロン HDは、「美容師の働きやすさを考えた環境が整備されているから」と考えている。
チョキペタでは、働きづらさを解決するために、さまざまな工夫をしている。
①「メンテナンス」特化で技術的ハードル下げる
施術メニューをカットとカラーに絞り、髪の「メンテナンス」に特化。これにより、流行の移り変わりに左右されないベーシックな技術で対応が可能になる。
技術的なハードルを下げ、ブランクがあっても一定のトレーニングを経ることで復帰しやすい環境を整えている。
②パート社員が8割、シフト制で柔軟な勤務が可能
「週1日、3時間から」など、ライフスタイルに合わせた働き方を実現している。
パート社員が8割で、平日のみの勤務が可能。美容室が混雑しやすい土日に働くことができない人も、活躍することができる。
③年齢制限なし、ブランク40年の社員も在籍
美容師全体の平均年齢が32歳(厚生労働省「令和3年賃金構造統計調査」調べ)であるのに対し、チョキペタで働く美容師の平均年齢は48歳。
長く美容師の職を離れて別の仕事をしていた人でも、美容師免許を持っていれば何歳からでももう一度美容師として働くことができる。
現役最高齢は、72歳の女性。10年間美容師の職を離れていたが、69歳の時に応募し、現在も週4日8時間働いている。「シフト制でお休みの希望も聞いてもらえるので、自分に合ったペースで働くことができてうれしい」と話す。
④技術講習でスキルアップをサポート
カットができず、カラーリストとして入社した場合でも、本社が開催するカット講習で技術を学び、一人前のスタイリストとしてデビューすることが可能。
チョキペタでカット技術を一から学び、一人前のスタイリストになった従業員も多く在籍している。
⑤幹部クラスとしても活躍できる多様なキャリアプラン
パート社員だけでなく、店長としての役割を果たす店舗管理者や、エリアを統括するマネージャーとして働くキャリアプランも用意。さまざまな美容師が活躍できる環境を整えている。
実際、チョキペタに入社する前はクイックサロンで働いていたという男性は、歴代最速の1年ほどでマネージャーに昇格した。
「チョキペタで働いてみて良いと思ったことは、ワークライフバランスだけではなく、社内のいろいろな人たちと交流があるところ。本社との距離も近くサロンワーク以外にも一緒に仕事をする機会があったり、マネージャー同士のつながりもあるので色々なノウハウを吸収することができる」と魅力を話す。
また、エリアマネージャーのうち、女性は13人中7人と半数以上。店舗管理者も25人中19人と7割以上が女性で、男女ともに幹部クラスで活躍している。
非上場化し、改革の新たなフェーズに
アルテ サロン HDは、今年6月にMBO(マネジメント・バイアウト)による非上場化を実施。「変化する業界環境に対応しながら将来にわたって美容師が安心して働き続けられる環境を実現すべく改革に取り組む新たなフェーズにいる」としている。
チョキペタ事業をはじめ、「今後も『生涯美容師の実現』をビジョンに掲げ、美容室業界の発展に貢献することを目指す」と意欲を語っている。
文/杉野碧