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アイヌと縄文、共通する世界観 美容考古学研究所がアイヌの長老招き勉強会

伝統儀式「カムイノミ」を披露

勉強会は2022年6月22日、東京・渋谷の国際文化理容美容専門学校渋谷校1号館で開かれ、約50名が参加した。

講師を務めた浦川治造氏は、アイヌの長老(エカシ)。北海道浦河町に生まれ、現在は東京に居を構える。関東地区に住むアイヌとその家族の交流と、アイヌ文化の継承と差別・偏見をなくすことを目的とした、「関東ウタリ会」の会長を務めている。

勉強会の冒頭では、浦川氏によって、アイヌのカムイ(神)に祈りを捧げる儀式「カムイノミ」が披露された。

「カムイノミ」を行う浦川治造氏㊧

祭壇には、カムイに捧げる食べ物や飲み物、またイナウと呼ばれる木幣などが供えられた。火の神から、トイレの神まで、身の回りのあらゆる神に感謝をささげ、会場に集った人の幸せを願った。

その後、浦川氏からはこれまでアイヌが受けた差別について語られた。北海道や岩手、千葉など日本各地で起こった壮絶な歴史に、参加者は息をのんだ。

頭の上には男性が儀礼の時にかぶる「サパンペ」

あらゆるものにカムイ宿る

土偶に関する著作の多い文筆家で、勉強会のアドバイザーを務める譽田亜紀子(こんだ・あきこ)氏は、縄文とアイヌの共通点などを解説した。

アイヌの人たちと縄文人は、遺伝的に近いとされる説を紹介。また両者は、無機物・有機物関係なくあらゆるものに神(カムイ)や命・魂を見出し、祈りをささげる点が共通していると持論を述べた。

「自然界の中に自分たちがいる、人間も自然の中の一部であるという考え方は、縄文人とアイヌの人たちに共通するものだと思う」と語った。

勉強会のアドバイザーを務める譽田亜紀子氏

なお会場には、北海道の土偶をモデルに、研究所が縄文時代の髪型を想像して再現した「土偶ヘア」が展示された。また、浦川氏が持参した貴重な資料の数々も並べられた。

北海道虻田町・高砂遺跡の土偶をモデルにつくられた「土偶ヘア」
アイヌの民族衣装などが展示された

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文/大徳明子、杉野碧

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