メンズ美容への関心は、若者だけではなく、中高年も高まっているようだ。
男性専門の総合美容クリニック「ゴリラクリニック」で、40代以上の男性患者が増加している。2021年度の年間来院者数は、2019年度の1.6倍。また、創業の2014年からは約44倍と、右肩上がりで中高年の来院者が増えている。
全国20店舗、1日2000名が来院
ゴリラクリニックは2014年創業の男性専門の総合美容クリニック(医療機関)。「男性美容という文化を創る」を使命に掲げ、全国に20店舗を展開している。医療用レーザーを使用した「永久脱毛」を始め、スキンケア治療やニキビ(跡)治療、薄毛・AGA治療、医療痩身やスメルケアなどの治療を行っている。
1カ月の来院者総数は5万7千人超。1日の平均来院者数は約2000名と、多くの男性患者が利用する。
40歳以上は7年間で約44倍に
クリニック全体の年間来院者数は、2019年度と2021年度を比較すると、2.15倍に増加した。
40歳以上の来院者に限ると1.6倍。全体と比較すると伸び率は緩やかながら、コロナ禍以降、中高年も着実に来院者が増えている。
さらに、創業の2014年以降7年間の来院者数推移を見てみると、右肩上がりで増加しており、2021年には約44倍にまで伸びている。
中高年は「モテたい」より「QOL向上」
ゴリラクリニックは、「中高年男性による美容意識の特徴」に、若年層に比べて治療ニーズが多様化する傾向をあげている。具体的には以下の5つ。
中高年男性による美容意識の特徴
①シワやたるみ、シミなどが気になりだす
②耳毛や眉毛などの加齢性変化(数本が飛び出すように長く伸びる毛が現れる)
③体毛に関する悩み(白髪、薄毛、脱毛希望)の深刻化
④ダイエットによる体型管理が次第に難しくなり、医学的な治療も含めた抜本的な改善を期待
⑤「臭い」の問題(口臭、加齢臭、腋臭など)が顕著に
また若年層の特徴としては、「カッコよく見られたい」「イケメンになりたい」など、異性を意識した美容ニーズがある。
一方、ミドル世代のニーズは、「ひげ剃りに要する時間がもったいない」「排便時のふき取りを楽にして、衛生的に過ごしたい」など。日々の利便性やQOL(生活の質)向上を目的とする傾向がある。
そのほかにも「清潔感を手に入れたい」「加齢に伴い昔と同じケアでは効果が出なくなってきた」「自己投資の一環としての美容」などが挙げられる。一言で「美容意識」といえども、さまざまな目的や肌悩みを抱える男性が通院していることが見てとれる。
文/杉野碧