古代の髪型やメイクに注目し、日本の美容の変遷を研究する「国際文化学園 美容考古学研究所」。2022年4月28日、国際文化理容美容専門学校渋谷校で第11回勉強会が開かれた。
真菰墨(まこもずみ)を使った“縄文風メイク”の実演などを通して、縄文時代の化粧について意見をかわした。
古代の髪型やメイクから美容を考える
国際文化学園 美容考古学研究所は、2019年12月に発足。おもに古代の髪型に注目し、日本の美容の移り変わりについて研究している。
勉強会は2021年5月以降、月1回のペースで開催。前回第10回からの3回は「縄文時代の化粧」をテーマに、「白」「黒」「赤」と色ごとにメイクを掘り下げている。
真菰(まこも)から「縄文の黒」学ぶ
「黒」をフィーチャーした第11回には、約15名が参加。古来、眉墨などの原料にされた「真菰(まこも)」を栽培する中野由貴子氏を講師に招き、“縄文風メイク”の実演などを通して、「縄文の黒」を学んだ。
真菰はイネ科の多年草で、8月頃には2メートルの高さにまで成長する。食用と工芸用があり、食用マコモダケはクセがなくヤングコーンのような食感で、「秋のタケノコ」とも言われている。
工芸用には黒穂菌(くろぼきん)の胞子が多く含まれ、これを「真菰墨」と呼んだ。この真菰墨が、古くから歯黒や眉墨、鎌倉彫の仏具にも使われていたという。
“縄文風メイク”に挑戦
この日はこの真菰墨を使って、「縄文時代にはこんなメイクがされていたかもしれない」という“縄文風メイク”に挑戦。
真菰をすりおろして粉状にし、椿油などを混ぜてメイク用の墨を制作した。
実演を担ったのは、フジテレビの美術部メイクアップ室やCM部で30年近くにわたり活躍し、現在は国際文化学園の非常勤講師を務めるメイクアップアーティストの清水悌氏。
メイクブラシなどの現代の道具は使わず、縄文時代を意識しながら指や葉っぱを使ってモデルに見事なアイメイクを施した。
縄文時代や土偶に関する著作の多い文筆家の譽田亜紀子氏は、「今日のメイクを見て、自分を魅力的に見せる、クレオパトラに通ずるものを感じた。縄文時代に、このようなメイクもあったかもしれないと思った」とコメント。
また、美容考古学研究所主任研究員の篠原博昭氏は、縄文時代の土偶について解説。目のまわりをなぞるように刻線がある土偶や、目が黒い土偶を紹介し、様々な視点から縄文時代の化粧の可能性を探った。
次回第12回の勉強会は、5月25日に同校で開催予定。縄文時代の化粧シリーズ3回目として「赤」を取り上げる。
なお、希望者は年齢や職業を問わず無料で聴講できる。申し込みは、Facebookや電話、メールにて受けつけている。
→ 電話:03-6416-5348
→ メール:shinohara@kokusaibunka.ac.jp
文/大徳明子、杉野碧