アジュバンホールディングスは、2024年度を最終年度とする3カ年の中期経営計画を策定した。
EC強化や業務用カラー剤の新会社設立など6つの戦略で、持続的成長とプライム市場上場維持を目指す。
目次
プライム基準未達からの脱却図る
アジュバンHDは、2022年4月の市場再編で、東証1部からプライム市場に移行した。しかし、2021年6月時点で、「流通株式時価総額」が基準100億円のところ36億円、「1日平均売買代金」は基準2000万円のところ1953万円と未達となった。
そのため現在は、基準達成に向けた計画書を提出してプライム上場を維持する「経過措置」が取られている。
中期経営計画では、3年でプライム市場上場維持基準の達成を掲げる。
2022年3月期の売上高は44億だが、2025年3月期には95億円と倍以上の成長を目指す。
具体的には以下の6つの戦略で取り組んでいく。
①持続的成長事業の確立
消費者向けのEC事業に参入し、育毛剤を販売する。育毛剤には、理化学研究所との共同研究で発見した化粧品原料を使用する。
目標は3年で売上高40億円、化粧品EC市場のシェア1%超、定期購入ユーザー数15万人。通販事業を理美容専売事業と並ぶ事業の柱に成長させる。
②プロフェッショナル商材への再挑戦
新会社シアー・プロフェッショナルを設立し、業務用カラー剤を販売する。かつて2014年に発売した業務用カラー剤への再挑戦となる。
2022年度にグレイカラー、2023年度以降にファッションカラーを発売予定。2025年3月を目途に、売上1億円、シェア0.2%を目標に掲げる。
③国内理美容業へのアジュバンらしいスキン・ヘアケアのリリース
サロンを通じ、アジュバンらしさあふれる素材にこだわった、人に地球にやさしい安心安全なスキン・ヘアケアを提供する。
初年度は、新たにスキンケア3ライン、ヘアケア1ラインをリニューアル。3カ年の間に各種商品ラインナップの改廃を行う。
2024年度の売上目標は、2021年度から12億円増の54億円。平均成長率7.2%、シェア4%を目指す。
また、顧客の利便性を考え、BtoBtoCのECサイトを立ち上げる。
④海外市場
海外市場については国内市場の進捗を勘案しつつ、販路の再構築に取り組む。
最重点課題は、国内市場のシェア拡大。当面は国内市場へ経営資源を集中していく。
⑤財務戦略
各種商品ラインナップの改廃を行いながら、在庫効率化、リードタイムの短縮などを図る。
キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)の改善を行う。創出したキャッシュは、Webマーケティング、研究開発、人件費、配当へ戦略的に配分する。
⑥サステナビリティ
以下の3つを掲げ、美容市場を通じて人や社会、地球を豊かな未来にするための課題解決に挑戦し続ける。
・地球に人にやさしいモノづくり
・様々な人が様々な働き方が出来る組織づくり
・透明性高い企業づくり
なお、2022年度を最終年度とする5カ年の中期経営計画を推進していたが、2021年1月に達成が困難として計画を取り下げている。
そうした厳しい状況の中でも、ヘアケア商品を新発売したり、物流・ITインフラを拡充。一定の成果があり、次のステージでの一翼を担う要素が出来たとして、新しい中期経営計画を発表した。
文/杉野碧