── 知り合いもいなければコネもない土地で、坂手さんの飛びこむ力、引き寄せる力はすごいですね。
店の施工は大変でしたけどね。1カ月で出来ると言われましたが4カ月弱かかりました。店は営業できないのに家賃だけ発生している状態なのでたまらないですよ。
「雨が降ったから今日は作業できない」と当然のように言われても、内装工事でどうして雨が関係あるのかと。でも怒っても進まないので。こんな風土なので、店が完成しないまま、ここではやっていけないと撤退した人もいました。
そんなこんなで2号店については様々なトラブルが想定内なので「あれはどうなっている?」とこまめに聞いて、フォローアップを徹底しました。まだ完全なオープンではありませんが、4月20日にソフトオープンしたところです。
── サロンの規模や雰囲気は?
1号店は中華料理店が入っているビルの2階にオープンしました。1フロアで広いわけではなく、メインのフロアと別館があるような構造です。黒と白を基調としたシンプルな作りで、バーをイメージしたカウンターがインテリアの中心になっています。
シャンプー台は、メインフロア3台と別館2台の計5台。セット面は、メインフロア5席と別館3席の計8席です。
2号店は、1号店からほど近い、ネイルサロンの居抜き物件で、施工費は1号店の10分の1で済みました。こちらはシャンプー台が2台にセット面が4席。1号店のようなバー風ではないのですが、2店舗ともインダストリアルデザインでそろえました。
スタッフは全部で10人いるのですが、日本人は僕ともう1人だけ。2号店には、僕とスタッフが順に出ています。
── ご自身にとって初のサロンを海外で持ち、4年で2店舗目を出店と順調ですね。
1号店はオープンから3~4カ月で単月黒字を達成しました。インドネシアはSNSが盛んなのですが、当時はちょうどFacebookに広告機能がついたころでした。SNS広告の活用や日々の情報発信を続け、いまは口コミだけで集客できています。
年商は毎年5~10%伸びていて、3年目も前年比10%増くらいで着地。今年は、仕事始めの日に去年の売り上げ最高日を超えました。
── ジャカルタには日系の美容室はどのくらいあるのですか?
6社ですね。このうち2社はそれぞれ5店舗を展開。うちも含めた3社がそれぞれ2店舗で、1社が単店です。
これ以外に、日本人向けに絞っていた美容室で撤退したところもありますが、現在ある日系の美容室の中では、うちは3番目に始めています。
── インドネシアは9割近くの人がムスリム。女性はヒジャブという布をかぶっていますが、髪へのニーズに影響は?
うちのサロンはパーマもヘアカラーもメニューにあります。やはりカットだけの方が多いですが、パーマやヘアカラーをされる方は、客単価3万円、4万円のお客さんです。
顧客の8割はインドネシア人で、日本人が1割、その他が1割。平均客単価は日本円で8000円程度、4月から僕のカット料金を上げました。この価格設定は、ジャカルタのサロンでは10番目あたりですね。
── 国内の経済格差が大きいと聞きますが。
インドネシアの富裕層は1000万人。その1%が顧客になりうる人たちだと言われています。1%というのは10万人です。富裕層向けというと絞った市場のように思われるかもしれませんが、ポテンシャルはとても大きいです。
中間所得層の人口も増えています。うちの顧客はほとんどが富裕層ですが、中間所得層からも「家族からの誕生日プレゼントで」などの来店がありますよ。
サロン自体、富裕層が通う場所になっていますが、500円程度でシャンプー&ブローが受けられるところもあるので、そうした店には中間所得層も通っていますね。