2022年3月30日に開催された、厚生労働省の「第3回 美容師の養成のあり方に関する検討会」において、美容師養成の改善に関する当面の方針が固まった。
美容師国家試験の実技に、「まつ毛エクステンション」を導入し、「オールウェーブ」については整理を検討する。
実技試験、美容実習をより現場に即したものへ
「美容師の養成のあり方に関する検討会」は、厚生労働省が美容業界の有識者を招いて実施しており、2022年1月13日に第1回を開催し、今回の3回目で下記の方針を決定した。
(1)国家試験(実技試験)の改善
(2)養成段階の知識技能の取得の推進
(3)養成段階から就業後の人材育成の連携・接続
実技試験の科目を見直し、美容学生の実習内容をより現場に即したものとするという内容。
卒業後の学生がサロンワークの戦力になるまで時間がかかりすぎるという、業界で繰り返し言われてきた課題の解決への一助になるものと期待される。
※写真は、第2回検討会のもの
→ 参考:「美容師の養成のあり方に関する検討会」のメンバーは前回の記事へ
(1)国家試験(実技試験)の改善
実技試験の改善については、「まつ毛エクステンション」を導入し、「オールウェーブ」については今後も行うかどうか整理を検討することになった。
①「まつ毛エクステンション」の実技試験への導入のために必要な取組の推進等
・ 実技試験への「まつ毛エクステンション」導入について、公正・公平な試験が実施可能か具体的に検討する。
・公益財団法人理容師美容師試験研修センター(試験センター)は、必要となる準備期間や条件を含めて、令和4年度(2022年度)中に明らかにする。
・併せて、他の実技試験課目(ヘアカラーなど)についても、引き続き検討・研究を進める。
・ 都道府県を通じて、養成施設に対し、美容実習において、「まつ毛エクステンション」を含めた必修の基本的な技術を確実に身につけさせるよう、公益社団法人日本理容美容教育センター(教育センター)の協力を得ながら、改めて徹底するよう周知する。
②「オールウェーブ」を含む実技試験で問うべき課目の整理等
・ ①の取組みを進めつつ、「オールウェーブ」を含む現行の実技試験課目について、今後も問うべき課目とすべきか令和5年度(2023年度)の早期に整理する。
・一方で、オールウェーブは美容に必要な技術であり、授業の中でしっかり教えるべきであることは確認できたため、都道府県を通じて、養成施設に対し、「オールウェーブ」の学習の際などに、その意義や将来の活用場面などを含めて教育するよう要請する。
(2)養成段階の知識技能の取得の推進
①美容実習全体について
・ 都道府県を通じて、養成施設に対し、美容実習について、必修課目を網羅するとともに、試験課題にかたよらない、就職先のニーズも踏まえたものとなるよう徹底する。これに当たっては、教育センターの協力を得ながら行う。
②美容所における実務実習について
・ 都道府県を通じ、養成施設に対し、一定の条件の下で美容行為を行うことが可能であることを改めて周知する。
・ 教育センターの協力を得ながら、効果的な実務実習の好事例(養成施設と美容所の十分な連携、実務実習計画など)について収集し、周知する。
・また、実務実習時間など現行の取扱いについて課題やニーズを把握した上で、より成果の上がる実務実習のための取組で速やかに実施可能なものは、令和4年度(2022年度)中から進める。
(3)養成段階から就業後の人材育成の連携・接続
・ 養成段階と就業後の人材育成の連携・接続が円滑かつ効果的になされるよう、
ⅰ 全国レベルの取組に対して厚生労働省も参画し、充実を図る。
ⅱ 地域レベル、養成施設単位において養成施設と経営者(団体)との連携を促進することとし、まずは、モデルとなるような取組を収集し、普及を図る。
美容所における人材育成(社会保険の加入、労働基準の遵守を含む)の取組を推進するため、これらの重要性についての経営者への普及を図る。
・ 教育センターの協力を得ながら、養成施設による就業後のアフターフォローについて、モデルとなるような取組を収集し、普及を図る。
なお、平成29年に行った理容師・美容師養成の教科課目等に関する見直しについても、新カリキュラムによる免許取得者の状況を踏まえつつ、評価を行い、その結果を踏まえて、養成の在り方について必要な見直しを行っていく。