④お客さまの「サロンで嬉しかった経験」は?
では次に「サロンで嬉しかった経験」についても見ていきます。
全世代で「スタッフが自分のことを覚えていてくれた」が1位に。名前を呼んだり、前回した話の続きや施術したメニューの経過について触れると、会話を弾ませるきっかけとなりそうです。
こちらも先ほどと同様に20代と40代を比較して、世代別の違いを見てみましょう。
20代と40代の差分を比べたときのプラス差分が大きい項目を20代が重視、マイナス差分が大きい項目を40代が重視する項目としてランキングにしたのがこちらのデータになります。
40代にくらべ20代がより重視している項目1位は「施術後に『かわいい』『きれい』『似合う』などと褒めてくれた」。先ほどのパートでもお伝えした周囲から認められたい「承認欲求」がここに表れているかと思います。
素敵な仕上がりになったと心では思っていてもなかなか口に出せていない方は、言葉に出すことを少し意識していただくといいかもしれません。
また、20代の2位は「新しい・自分に似合うスタイルやデザインを提案してくれた」でした。40代は「自分の肌質や髪質に合った提案」(4位にランクイン)を求めているのに対し、20代では旬な情報やトレンド情報を踏まえた提案が好まれるようです。
一方で、40代がより重視する項目1位は「自分の話を共感して聞いてくれた」。
フリーアンサーからも、特に加齢に伴い増えてくる白髪や薄毛、クセなどのお悩みに対し、同世代の美容スタッフさんに共感してもらえたことがうれしい、といった声も多く聞かれました。
⑤サロンで実践する「世代別リピート率」を高める秘けつは?
最後に、これらの調査結果を踏まえ、どのようにサロンで実践すればいいのかまとめていきます。
まず、カウンセリングシーン。20代は恥ずかしがって希望を隠したり、経験値の少なさからなかなか選べない、それに対し時間がかかり申し訳ない、と思ってしまう傾向があるので、以下のような接客が効果的です。
- 「時間がかかっても大丈夫」とゆっくりでもいいと安心してもらう
- 「もし写真があれば~」と写真を出しやすい空気を作る
- 「これとこれが似合いそう!どっちが好み?」などと2つ3つから選べるような問いかけにしてあげる
また40代は、「こだわりがない」と回答する方が多い一方で、特に希望を伝えないと「いつもと同じ感じになって代わり映えしなかった」との意見もありますので、髪質に合った、少し印象を変えるようなスタイルの提案をしてみるといいかもしれません。
そして施術中・施術後のシーンにおいて、20代は以下が重要です。
- 旬な情報・トレンド情報の提供
- セルフケアなど、プロならではの情報の提供
- 仕上がり確認ではしっかり褒める!
一方で40代は「共感」はもちろんですが、それに対して、さりげなくコンプレックスをカバーしてくれるような提案もおりまぜてあげると、スタッフさんへの信頼につながっていきます。
また、気づかいという点も忘れてはいけません。適度な距離感の中でも、トイレの声掛けや温度調節のためのブランケットのお声がけなどしていただくことで、満足度アップになりそうです。
お客さまの満足度を上げるために「不満の解消」「お客さまが喜ぶこと」の両面でお伝えさせていただきました。また、カウンセリング力を高めるための動画セミナーもサロンジャンル別に公開していますので、ぜひこちらも参考にしてみてください。
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お客さまは不満があってもなかなか口には出してくれないことも多いはず。今回の調査がお役に立ちますとうれしいです。
データ出典
ホットペッパービューティーアカデミー
「世代別の美容消費・価値観に関する調査」
岡本 華奈子
ホットペッパービューティーアカデミー研究員
OKAMOTO KANAKO/ホットペッパービューティーの企画グループにて、商品企画、各種規定・運用設計、AWARDなどを担当。2019年4月よりホットペッパービューティーアカデミー研究員として活動。サロン経営を楽しく学んでいただける「動画セミナー」の設計・ディレクションや各業界調査、サロン取材記事などを担当。