経済活動や日常生活で排出され続けるCO2。環境保護などの取り組みでプラマイゼロにする“ゼロカーボン”の活動が世界的に注目を集めているなか、b-exは、ヘアサロンから世界のゼロカーボンを目指す「グリーンプロジェクト」を発足した。
2022年3月15日に都内でプロジェクト発足発表会を開催。台湾発ゼロカーボンコスメブランド「O’right(オーライト)」の業務用製品の発売をきっかけに、サロンでのカーボン排出量削減に向けた取り組みをサポートする。
発表会には歌手の一青窈さんもプロジェクト賛同者として駆けつけ、グリーンプロジェクトへの理解を呼びかけた。
目次
①サロンの取り組み後押しする「グリーンプロジェクト」
よりよい未来のために世界を変える
「グリーンプロジェクト」は、2021年9月のオーライトとの資本業務提携をきっかけにスタート。
オーライトは原材料の調達から製造、輸送、販売・消費、廃棄・リサイクルまでの過程において、CO2排出量が±0となるゼロカーボンシャンプーを、2011年に英国規格協会(BSI)の認証のもと世界で初めて開発している。
冒頭でプロジェクトリーダーの酒井麻里子氏は、「オーライトと日本のサロンさんとともに、よりよい未来のために世界を変える『グリーン革命』というミッションを進めていきたい」と話した。
24の「グリーンスコア」設定
b-exが2022年1月に10~60代の美容師200人を対象に実施した調査では、環境問題意識しているものの「何をしたらよいのか分からない」美容師が多いことが分かった。
初年度の2022年は、ヘアサロンがカーボン排出量削減のため今後取り組むべき24の項目を「グリーンスコア」として設定。サロンでの取り組みの現状を見える化し、最初の一歩を踏み出すきっかけにすることを狙いとしている。
理念広める「グリーンパートナー」
グリーンスコアの指標に加えて、オーライト製品の一定の購入条件を満たしたサロンは「グリーンパートナー」の認定を受けることができる。
グリーンパートナーは「賛同サロン」「認定サロン」「認定アドバンスサロン」の3種類。オリジナルステッカーの掲示ができるほか、様々なグリーン活動を行う「グリーンセミナー」に参加が可能となる。
酒井プロジェクトリーダーは、「オーライトという商品は、プロダクトだけではなかなか伝えきれない部分がある。お客さまと美容師さんの強い絆があり、ともにグリーンについて話し合う環境にある空間だからこそ、オーライトのミッションを真の意味で伝えていけると考えている」と話した。
顧客接点の多いサロンだからこそ、エンドユーザーまでグリーンプロジェクトの理念を広げることができると期待している。
②全製品ゼロカーボンのオーライト
台湾の7000サロンが使用
オーライトは2001年設立の台湾の美容メーカー。オーガニック、ヴィーガン、グルテンフリー、非遺伝子組み換えの原材料使用、パラベン、合成着色料などの7つのフリーを掲げ、製品開発に取り組んでいる。
2021年12月には、全165製品でゼロカーボンを達成した。
台湾では全体の3分の1にあたる約7000軒のサロンがオーライト製品を取り扱っており、世界では42の国や地域で展開中。
オーライトの取り組みについて、台湾からオンラインで参加した代表のスティーブン・コー氏は、「今、多くの企業が環境問題に注目している。ゼロカーボンビューティーをいち早く選んだ者が伸びる」とアピールした。
「製品をすべてリサイクル」カフェインシリーズ
オーライトを代表するのが、「カフェインシリーズ」。シリーズ内の「ツリーインザボトル」は「製品をすべてリサイクルすること」をモットーとし、コーヒーかすからつくられた100%生分解性のシャンプーボトルを使用している。
製品にはコーヒーの殻から抽出されたカフェインエキスを配合している。
■ カフェインシリーズ
・シャンプー ツリーインザボトル 250ml
・シャンプー 100ml 250ml 400ml 1000ml
・トリートメント 250ml 1000ml
・スキャルプケア 50ml 100ml
業務用シャンプーとヘアトリートメントが新発売
日本では2020年にマルイ有楽町に直営店をオープン。すでに一般向け製品の発売は始まっているが、業務用製品の本格展開を進めていく。
新発売のオーライトの業務用シャンプー5種とヘアトリートメント2種は以下の通り。
・モイスチャライジングシャンプー EC
・カラーケアシャンプー
・オイルコントロールシャンプー
・リペアシャンプー
・ディープクレンジングシャンプー EC
・ヘアトリートメントMG EC
・ヘアトリートメントRS EC
※いずれも5L
③2025年に賛同サロン5000店
サロンのCO2排出量45%削減目指す
1975年の創業以来、時代に即したサステナブルな取り組みを続けているb-ex。
グリーンプロジェクトでは、日本政府が掲げる2050年の「カーボンニュートラル」を指標に、サロンにおけるCO2排出量を2030年までに45%削減することを目標に掲げる。
そのためには、2022年度に2000店舗、2025年度に5000店舗の賛同サロンが必要と算出している。
福井敏浩社長は、「世の中には様々な社会問題があるが、気候変動は待ったなしの状態。b-exは業界を巻き込みなら、社会問題を解決する使命があると思っている。グリーンプロジェクトは一過性のものではなく、サロン様とともに学びながら推進していきたい」と賛同を呼び掛けた。
「経済と環境、調和したロールモデルに」
なお、プロジェクト発足発表会は、「第1回グリーンサミット」として開催された。会場の東京・赤坂の赤坂ガーデンシティとオンラインで、プロジェクトに賛同するヘアサロンやディーラーが集った。
賛同サロンとして、「FILMS」から代表取締役の若林紀元氏とCSR部リーダーの白井咲恵氏が登壇。
若林氏は「特に若いスタッフの間で環境を大切にする価値観が広がっていると感じる。経済と環境の調和を重視したロールモデルになり、パートナーとして協力していきたい」と述べた。
また、FILMSではマイバッグ・箸の使用や、月に一度のヴィーガン弁当の支給など環境問題に対して社内で活発な活動が行われている。その秘けつについて、白井氏は「CSR部は若いチームで発想がすごく豊富。実現可能か不可能か関係なくアイディアが出てくるので、幅広い活動ができている」と語った。
一青窈さんもプロジェクトを応援
発表会には、台湾人の父を持ち、幼少期を台北で過ごすなど台湾にゆかりがある歌手の一青窈さんも駆けつけた。
一青窈さんは2007年にアフリカ最大級のスラム、ケニアのキベラスラムを訪れたことがきっかけで、環境問題に関心を寄せるようになったという。
現地の過酷な状況を目の当たりにし、「自分が着ているもの、食べるものすべてを考え直さなければ、この状況は変わらない。たった一つ境界線を越えたところで普通に過ごしていることを考え直した」と身の回りから見直す大切さを訴えた。