厚生労働省は、美容業界の有識者を招いて「美容師の養成のあり方に関する検討会」を立ち上げた。
これを受け、一般社団法人日本美容サロン協議会(JABS)では、美容師国家試験の実技試験、まつ毛エクステンションを学ぶ環境、美容学生による実務実習などについてアンケートを行っている。
締め切りは2月28日。このアンケート結果は、3月の検討会に現場の声として届けられる。
「美容師の養成のあり方」を検討
「美容師の養成のあり方に関する検討会」は、2022年1月13日に第1回が開催された。
第2回は3月10日の予定で、今回のアンケートによる現場の声を踏まえて議論と整理を進め、第3回で大まかな方向性を決めるという流れだ。
検討会のメンバーは、次の通り。
岩田卓郎
(一般社団法人日本美容サロン協議会副理事長、株式会社エアーエンターテイメント代表取締役社長)
遠藤弘良
(公益財団法人理容師美容師試験研修センター理事長)
谷本穎昭
(公益社団法人日本理容美容教育センター理事長)
津田まどか
(株式会社ヴィヴィディ代表取締役・中小企業診断士)
原恒子
(専修学校徳島県美容学校理事長)
福下公子
(公益社団法人東京都眼科医会会長・眼科医)
宮崎孝治 ※座長
(江戸川大学副学長)
吉井眞人
(全日本美容業生活衛生同業組合連合会理事長)
=五十音順・敬称略=
日本美容サロン協議会(JABS)は、2017年7月に設立された比較的新しい業界団体だ。美容室チェーンの経営者が理事に顔をそろえ、国に声を届けるべくロビー活動に注力している。
国会議員有志とともに「美容サロンに関する議員勉強会」を続け、2021年6月には、河野太郎行政改革担当相を訪問して美容師制度について提言を行った。
こうした活動が実り、翌7月の「第18回規制改革推進会議投資等ワーキング・グループ」において「美容師制度のあり方」が議題として取り上げられ、今回の厚生労働省による検討会開催に至ったという経緯がある。
実技試験、学校教育の見直しは賛否両論
第1回の検討会では、「美容師免許を取得しても即戦力にならないという現状は、サロン経営の負担となり、美容師本人の給与面にも影響がある」と、オールウェーブセッティングなどの実技試験内容や学校教育の見直しを求める声があがった。
また、まつ毛エクステンションの実技を求める意見、美容学生の実務実習をサロンワークに近づけてほしいなどの要望も出された。
その反面、「教育とは即戦力を育てることではない」「すぐに役立つ技術は、すぐに役立たなくなる」「試験教科の変更は3年から数年かかる負担の大きなこと」など、見直しに慎重を期す声も数多くあがった。
緊急アンケートは2月28日締切
第2回検討会では、現場からの声として現在実施中のアンケート結果が共有される。アンケートの回答期限は、2月28日(月)23時59分。
質問事項は、現場で使っている技術、美容師国家試験の実技試験、まつ毛エクステンションの現状、美容学生による実務実習についてなど。JABSとかかわりがなくても、美容師なら誰でも回答できる。
JABSでは「今回の検討会は、美容師の養成のあり方を見直す大変重要な機会となります。質問数は多めですが、美容業界をより魅力ある業界に変えていくためにも、ぜひご協力をお願いいたします」としている。
編集長の目
美容師さんのSNSでは、実技試験からオールウェーブセッティングを外して、実際のサロンワークに活かせる技術を学んだ方がいいという意見をよく目にします。
しかし、検討会の有識者の間では、慎重論、反対論の方が根強いようです。第1回検討会の模様は、厚生労働省のホームページに議事録が公開されていますので、ぜひご覧ください。
実技試験の見直しを求める側も、オールウェーブセッティングの技術や重要性は否定しておらず、試験対策として過度に時間が割かれているのではと懸念しているようですが、第1回検討会は平行線で終わっています。
アンケートの回答が集まらず、「見直しを求める声はそれほど大きくない」で終了すれば、再度の検討を求めるには長い時間がかかることになるのでしょうか。賛成の方も反対の方も、まずは一度、アンケートをご覧いただければと思います。
また、この問題はオールウェーブセッティングが注目を集めがちですが、アイラッシュの教育や学生の実習・インターンも焦点となっています。回答期限は来週2月28日(月)23時59分です。
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