美容師向け求人情報誌「re-quest/QJ(リクエストQJ)」で知られるセイファートが、2022年2月4日付で、ジャスダックへ新規上場を果たした。
これに伴い同日午後4時より東京証券取引所で記者会見を開き、長谷川高志社長が事業計画と成長戦略について説明した。
目次
美容業界特化の求人強みに30年
創業社長である長谷川高志氏が、美容業界に特化した求人情報誌として「re-quest/QJ(リクエストキュージェイ)」を創刊したのは1991年3月のこと。
同年7月に株式会社セイファートを設立して以来、30年を経て念願の上場を果たした。
売上高の7割が広告求人
セイファートはサロンサポート事業として「広告求人」「紹介・派遣」「教育」の3つのサービスを提供している。
広告求人 | ①中途採用商品:リクエストQJナビ |
②新卒採用商品:就職フェア(イベント)、リクエストQJナビ新卒(ウェブサイト) | |
③その他:プロモーション・ノベルティ制作サポートなど | |
紹介・派遣 | ①リクエストQJキャスティング |
②その他:リクエストQJエージェント(成功報酬型)、同ミニ(単発) | |
教育(その他) | ①資格証明(英国教育機関のプログラム) |
②子会社による美容室経営(米国2店舗) |
このうち広告求人が売上高全体の7割を占め、リクエストQJナビに代表される「美容業界に特化した求人サービス」が同社の強みとなっている。
2021年12月期は売上高23億、経常利益2.3億
コロナ禍で新卒向けの就職フェアが中止になったこともあり2020年12月期は売上を4億円ほど落としたが、オンラインで開催するなどして2021年12月期の利益は回復した。
売上高が前年同期比4.8%増の23億1000万円、経常利益が69.0%増の2億3100万円となる見込みだ。
売上高 | 経常利益 | |
2019年 | 26億円 | 1.2億円 |
2020年 | 22億円 | 1.3億円 |
2021年(見込み) | 23億円 | 2.3億円 |
セイファートの中長期経営戦略
上場によって調達した資金を何に投資するのか。
セイファートは、中長期的な経営戦略として、①既存商品およびサービスの成長 ②新規商品開発への取り組みを推進する考えだ。
①既存商品およびサービスの成長
コンサルティング型営業×デジタルで、リクエストQJナビや新卒採用サービスを拡販する
②新規商品開発への取り組み
「Z世代向け 美容師情報アプリ」を開発し、美容室とのマッチングを強化する
「Z世代向けアプリ」を3月ローンチ
新規商品である「Z世代向け 美容師情報アプリ」は、新卒向けの就職フェアなどでダウンロードをうながす。
「日常的にずっと使い続けてもらう」(長谷川社長)ことを想定しており、リクエストQJナビデイリーのメディアコンテンツなどを搭載する。
3月に第1フェーズを公開予定。10月には第2フェーズをローンチし、マネタイズを推し進める。
「ビューケット」で350万人にリーチ
また、サンプリングを中心としたマーケティング活動を支援する「ビューケット」についても強化を図る。
「全国2万軒のパートナーサロンのうち25%に当たる5000店に対し、雑誌読み放題コンテンツのdマガジンを搭載したタブレット端末を配置する戦略をとる。1店舗あたり5台とすると、タブレット端末2万5000台で350万人の来店客にリーチできる」(長谷川社長)。
10年先を見すえた長期戦略としては、ビューケットをサロン単位ではなく、美容師個人を基点としたものに進化させ、美容師の売上増に寄与したいという。
「美容師応援カンパニーとして、美容立国日本へ貢献」
会見の冒頭、長谷川社長は「当社を一言で表現すると、美容師応援カンパニー」と口火を切り、「美容師さんを応援することで、人々をきれいにしたい。人々がきれいになることで日本を明るく元気にしたいと思っている」と自社を紹介した。
さらに、大きな目標として「日本の人口が8000万人まで減るとき、一方でアジアの人口は6億人を超えることになる。アジアの人が学びに来たいと思うような、美容立国日本へ向けて貢献したい」と抱負を語った。
なお、セイファートの初値は1030円、終値は1018円だった。
初値が公開価格の1120円を8%下回ったことについて、長谷川社長は「実力が至らなかった。これから企業価値を高められるよう努力していく」と決意を示した。
同社は上場を機に、サービスの拡充・発展に一層力を入れ、挑戦を続けていく。