美容室専業メーカーと消費財メーカーのトップ企業2社がタッグを組む。
2022年1月24日、ミルボンと花王は、美容室における新たなビューティヘルスケアサービスの確立に向けて共同プロジェクトを開始すると発表した。
RNA(リボ核酸)による肌解析などの最先端技術を用いたヘルスケア情報や、サロン専売のビューティヘルスケア商品などを美容室に提供する。
美容室を「ビューティプラットフォーム」に
ミルボンと花王の共同プロジェクトが思い描くのは、美容室が美を通じた人と街の新たなコミュニティ、すなわち「ビューティプラットフォーム」となる未来。
まずは2022年より、皮脂RNAモニタリングを用いた美容室でのヘルスケア情報提供に関する検討に着手し、美容室専売のビューティヘルスケア商品の共同開発を進める。
その後も、美容室をハブとしたヘルスケア商品や各種サービスを順次展開していく予定だ。
皮脂RNAモニタリングとは
あぶら取りフィルムで顔の皮脂を採取し、そこからRNAを取り出して網羅的に解析する花王独自の技術。
RNAはDNAと違って、その時々の状態を捉えられるという特徴がある。
皮脂RNAモニタリングの技術により、肌を傷つけることなく、肌や体の状態を把握・推定できる。
ミルボンと花王、両社の強みを重ね合わせる
共同プロジェクトにおける両社の役割は、次の通り。
ミルボン
1)「美容室における皮脂RNAモニタリングを用いたヘルスケア情報」の企画・販売
2)「美容室専売のビューティヘルスケア商品」の開発・販売
花王
1)「美容室における皮脂RNAモニタリングを用いたヘルスケア情報」の開発
2)「美容室専売のビューティヘルスケア商品」の開発・技術支援
ミルボンの美容室専業メーカーとして培ってきたヘアケア技術と美容室ネットワーク、そして花王の高度なヘルスケア技術。
この両社の強みを重ね合わせることで、美容室における新たなビューティヘルスケアサービスの確立を目指す考えだ。
高まるヘルスケア需要と近隣消費
ミルボンと花王が共同プロジェクトを立ち上げた背景には、超高齢社会におけるヘルスケア需要の高まりと、コロナ禍で加速した近隣消費の流れがある。
医療技術の発達などによって健康寿命(健やかに生きられる時間)が男性72.68歳、女性75.38歳(2019年厚労省国民生活基礎調査)と延びるなか、ヘルスケアの需要はますます高まっている。
また高齢化は、遠出をせずに自宅付近で買い物をする近隣消費の流れを生み出しており、この傾向はコロナ禍でさらに加速しているという。
美容室を「美容と健康をケアする新たなコミュニティ」に
このような社会環境を踏まえると、全国各地、人々の身近に存在して定期的に通う場所である美容室は、美容はもちろんのこと、人々の健康までをケアする新たなコミュニティとなり得る可能性があると両社は考えている。
美容室の新たな可能性と価値向上という意味でも、美容室専業メーカーと消費財メーカーのトップ2社の協業は、大いに注目されるプロジェクトになりそうだ。
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ミルボンは2017年1月にコーセーと資本業務提携に関する契約を締結し、同年7月にコーセー ミルボン コスメティクスを設立。2019年4月より、美容室専売化粧品ブランド「インプレア(iMPREA)」を展開している。