今年で3回目となった「カミカリスマ(KAMI CHARISMA) アワード」は、初回より麻生太郎氏が実行委員会会長を務めている。
2021年12月7日に東京・日比谷の帝国ホテルで開催された式典では、麻生会長が三ツ星カリスマ美容師に盾を授与し祝辞を述べた。
この国はソフトが大きな資源
麻生太郎会長は、あいさつの冒頭、資源(ハード)のない日本にとってソフトがいかに大切であるかについて語った。
例に挙げたのは、“マンガの神様”とも称される故・手塚治虫氏。
「手塚治虫が絵を描きサインを入れたら一枚で100万円の値がつく。一枚の白い紙だったものが100万円になる」
「これは、無から有を生み出している。何もないところからいきなり、お金を生み出すという、そういうもの。これはハードと違ってソフトです。そういったようなものっていうのは、資源のないこの国にとっては、間違いなく、すごく大きな資源です」
感情に美をみつけ歴史になった
続いて、美容師が資源のある仕事かソフトかは意見の分かれるところかもしれないと前置きをしたうえで、長い歴史が文化を生み出したことにスポットをあてた。
「昔から男はちょんまげを結い、女は高島田や花魁の髪型なども含めて、いろいろなヘアスタイルというものを長い歴史の中で作り上げた」
「研ぎ澄ますとか磨き上げるとか、淡いとか儚いとかそういった何とも言えぬおもしろい感情に美を見つけて、思いを込めて、その良さをうまいこと作りだしてきた。そういうものがこれだけの歴史になった」
美容のマーケットを世界に
その上で、産業としての美容が国内需要にとどまらず、海外からも人を呼ぶ力があることを力説した。
その例として、カリスマ美容師に髪を切ってらもらいたいとプライベートジェットで来日する例をあげ、「バカバカしく無駄なお金じゃないかと思う人もいるだろうが、そこに価値を見いだす人もいっぱいいる」とした。
「美容のマーケットは、日本だけでなく世界に広がった。このカミカリスマも、東京に限らず全国にネットを広げ、今年は東京以外からも大勢参加していらっしゃる」
「こういったものに意義を見いだしていただいた皆さん方にも感謝します。たぐいまれな腕を磨き上げて、そしてまたカミカリスマに刺激を受けて、技術の向上意欲につながって、さらにいいものが生み出されるのは素晴らしいことです」
「そういう意欲を持ち続けていただくことが、結果として、髪結いという技術が文化として、この日本を代表するようなものとして、世界で評価される。その誇りをもって今後も続けることを心から期待しています」
なお、「カミカリスマ」のベースになっているのは、毎年12月に発刊されるサロンガイドブック「KAMI CHARISMA(カミカリスマ)」。
フランスには“食”のガイドブック「ミシュラン」があるように、日本にも“美容”のガイドブック「カミカリスマ」をつくり、日本の美容師のハイレベルな技術力や接客を“日本文化”として世界に発信しよう、来日のきっかけにしようという観光立国への期待をこめてスタートしたという経緯がある。
このため、政界の要人が実行委員会の役職に就き、外務省や経済産業省、厚生労働省の後援を受けており、実行委員会会長を務める麻生太郎氏のあいさつも、文化、産業としての美容への期待をこめたものとなった。