訪問理美容サービスは、急速な高齢化に伴いニーズが高まる一方、ヘアサロンにおける理美容師の多様な働き方の取り組みとしても注目されています。
※訪問理美容サービス:自宅や介護・福祉施設に理美容師が訪問し、ヘアカットなどの理美容メニューを実施するサービス。要支援者・要介護者の認定を受けた方など、外出が困難な方が対象
今回は、ホットペッパービューティーアカデミーが2021年12月に発表した「訪問理美容サービスに関する利用実態調査」(調査実施2021年10月)から、コロナ禍で見えた訪問理美容の「変化」と「兆し」について、お伝えします。
文・作表 廣田 純子(ホットペッパービューティーアカデミー研究員)
目次
①コロナ禍で自宅での利用者が増加
訪問理美容サービスを利用したことのある人に「利用場所」について聞いたところ、「自宅」と回答した人が39.7%と、前年より9.3pt増加しました。
コロナ禍で、一時的に介護施設における訪問理美容サービス提供が見合わせになるケースが見られた一方、外出による感染リスク回避のため自宅で施術を受ける人が増えたと思われます。
②訪問理美容師に求められる、高いレベルの感染症対策
訪問理美容サービスの利用者は高齢者が多いため、訪問理美容師は感染症対策の徹底を求められます。では、具体的にどのような対策が必要とされているのでしょうか?
訪問理美容師に行ってほしい感染症対策について聞いたところ、「マスク着用」「手指消毒」は7割を超えました。
さらに、「新型コロナワクチン接種」「体温・健康状態の開示」についても半数を超え、「PCR検査の結果の開示」や「抗原検査の結果の開示」も2割前後という結果になりました。
サービスの特性上、重症化リスクの高いお客様が多いからこそ、総じて高いレベルの対策が求められていることがうかがえます。
③コロナ禍で新しいヘアスタイルに挑戦。利用メニューも多様化!
このコロナ禍をきっかけに、「新しいヘアスタイル」や「新しいヘアカラー」に挑戦する利用者が出てきました。
ヘアスタイルを変えることや整えることが、外出や人と会う機会が減ったことに対する、リフレッシュや気分転換になると感じたのかもしれません。
利用経験のあるメニューについて聞いたところ、「ヘアカット」が98.3%と、最も高い利用率となっています。
一方、「ヘアカット」以外のメニューについては、全体的に利用率が上がっていることが分かります。ヘアメニューである「カラー」「パーマ」はもちろんですが、「ハンドマッサージ」「フェイシャルエステ」「ネイル」など、ヘアメニュー以外の利用も増えています。
利用メニューが多様化する“兆し”が見られ、「おしゃれ」への関心が高まっているようです。