今回の調査に使用したのが、「MOT(Moment of Truth=真実の瞬間)」というマーケティングの考え方です。元々は、スカンジナビア航空社の元CEOヤン・カールセンがその概念を活用して企業再建に成功したことで注目されました。
ホットペッパービューティーアカデミーでは、顧客ロイヤルティ協会の協力を得て、お客さまがサロンの情報と接した瞬間から、来店~お帰りまで、一つのサイクルを描く美容サロンの「MOTサイクル」を作成しました。
今回の調査では、来店前~施術~来店後までのお客さまがサロンと接点をもつ18のポイントに対し、どのポイントで「お店の継続利用や変更を決めているのか」を調べています。
最初は美容室を「また利用したい」と思った場面です。上位3項目は、男女とも「仕上がり確認」「施術」「カウンセリング」です。
「施術に満足すれば次も通いたい」は当然のことですが、「カウンセリング」も施術に次いでランクインしているので、男女のサロンリピートに非常に重要なポイントです。
一方で、男性は「サロンを知る(サロンの情報をネット等で調べる)」が4位にランクインしています。つまり来店前に、スタイル写真やブログ、SNSなどでの投稿を見て、男性はサロンのリピートを決める人が多いということ。
男性のお客さまをインタビューすると、「自分がサロンの中で浮かないか内観をしっかり見る」や「男性のスタイルがたくさんあるか確認する」など、サロンを決めるのに慎重な傾向があります。
逆に言うと、男性のお客さまは、「自分が通ってもいいサロンだ」という安心感を得られると、そのサロンに継続して通うようになる、ということかもしれません。
次に、「サロンを変えたい」と思った場面です。上位3項目は「また利用したい」と思った場面と同じですが、注目は男女の4位と5位。4位「事前に口コミで確認」と5位「サロンを知る(サロンの情報をネット等で調べる)」が、男女とも2割前後にもなります。
サロンに入る口コミやその口コミに対する返信は、新規のお客さまのサロン選びの基準として非常に重要ですが、それだけではなく、既存のお客さまにとっても継続利用を判断するポイントになっていることが今回の調査で分かりました。
現在通っているサロンでも、スタイルやブログの情報更新もなく、口コミも入らない、返信もしていない…というような状態を見たら信頼感をなくしてしまう、ということなのかもしれません。
Page: 1 2