美容室を変えるのはどんな瞬間? 来店前・滞在中・来店後のシーン別に徹底分析

特集・インタビュー

④【来店前】サロンの継続利用は「ネット予約」がカギ

美容室の顧客満足調査(リクルート/ホットペッパー)

今度は、「来店前」「来店~施術~仕上がり確認」「会計~来店後」の3段階に分け、美容室を「また利用したい」と思う具体的な場面・理由を聞きました。男女の傾向がほぼ同じなため、女性のデータで解説していきます。

【来店前】の1位は「口コミの評判がよい」です。2位と4位には「ネット予約できる」「予約が取りやすい」という「予約」に関する項目が入っています。「美容センサス2021年上期」でも、サロン継続の理由に「ネット予約できる」が4年連続で上昇しており、コロナ禍でも上昇している項目です。

⑤【来店~施術~仕上がり確認】「受付時の対応」が「スタッフの技術」を上回る

美容室の顧客満足調査(リクルート/ホットペッパー)

続いては【来店~施術~仕上がり確認】で、「また利用したい」と思った具体的な場面です。1位は「受付時の対応が丁寧」で、「スタッフの技術が高い」を上回っているのです。他にも「笑顔で出迎えてくれる」「スタッフが細やかな気遣いができる」も上位に入っています。

この結果は、まさに「施術以外にもスタッフと接するあらゆる接点」によって、お客さまがサロンの継続を決めていることを示す重要なデータです。「受付時の対応」「笑顔での出迎え」「細やかな気遣い」は、担当のスタイリストだけではなく、アシスタントや(受付がいるサロンの場合は)レセプショニストまで、サロンのスタッフ「全員」で、1人1人のお客さまに対した接客を意識していく必要があることを示しています。

⑥【会計~来店後】「料金案内」や「追加提案」が、サロンの継続を決める

美容室の顧客満足調査(リクルート/ホットペッパー)

最後に【会計~来店後】で、「また利用したい」と思った具体的な場面です。1位は「料金が明確・分かりやすい」が50%を超えています。コロナ禍で、1回あたりの利用金額は上昇しています。一度に「カット・カラー・トリートメント」の複合メニューで施術される方も増えているのではないでしょうか。

リピーターの方でもネット予約される場合は、「クーポン/メニュー」に対して、「どれを選べばよいのか分からない」「クーポンが多すぎて分からない」と悩まれるお客さまもいるかもしれません。来店時に「次回来店はこのクーポン/メニューをお選びください」と予めご提案しておくのも良いかもしれません。

また、2位の「無理な勧誘・セールスがない」、4位の「商品販売が押しつけがましくない」についても、「会計時」です。これは決して「店販をご提案してはいけない」ではなく、「お客さまのニーズや課題に対して適切な提案」が必要とされているということです。

コロナ禍では来店周期も延びているため、「次の来店までの間に自宅ケアをきちんとしたい」と考えるお客さまもいらっしゃいます。施術だけではなく、自宅ケアにおいても一人ひとりのお客さまを向いたご提案によって、さらにお客さまを「ファンにする」ことができるのではないでしょうか。

データ出典
ホットペッパービューティーアカデミー「顧客満足調査(美容室編)

協力
NPO法人 顧客ロイヤルティ協会
“日本のCSの父”と呼ばれる佐藤知恭氏による「顧客ロイヤルティ理論」を社会に広く伝えるために、CSマインドを持つ人材の育成や企業をはじめとする組織への支援を行う。
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田中 公子

ホットペッパービューティーアカデミー研究員

TANAKA KIMIKO/前職は経営コンサルティングファームでIT業界の業務改善に携わる。リクルート入社後、ホットペッパービューティーの事業企画を経て、2012年から現職。調査研究員として、「美容センサス」をはじめとする美容サロン利用調査や美容消費の兆しを発信。セミナー講演、業界誌・一般誌・テレビなど取材多数。共著に『美容師が知っておきたい50の数字』『美容師が知っておきたい54の真実』(女性モード社)ほか。

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