初めに、「サロンブランディング」において「デジタルマーケティング」が欠かせないと申しました。
世の中にはさまざまな検索サイトがあり、皆さんも自分のサロンを検索してみたことがあると思います。国内のみならず、世界的に最も使われている検索エンジンは間違いなくGoogleで、MINXにおいてもそのリサーチに関する研究を強化しています。
検索サイトではSEO(Search Engine Optimization)という検索エンジン最適化の仕組みによって、ワードにヒットしたサイトのページが表示されます。
お客さまが美容室を探す店舗検索の場合は、最上位がリスティング広告で、次に来るのがMEO(Map Engine Optimization)、地図上にブックマークされた状態のポータルサイトページです。MEOの上位に表示されるかどうかで集客効果は大きく左右されます。
では、そのために何をすれば良いのか。Googleで言えば「マイビジネス」というサービスの中に、ウェブマーケティングに活用できる無料のツールがあります。
その中では検索ユーザーが、どんなキーワードで自社サイトにたどり着いたか、インサイト(円グラフ)で確認することができます。
キーワードはエリアなのか、メニューなのか、または「MINX」と直接打ち込まれているかどうかで知名度を計ったり、間接的にたどり着いたのであれば、これから顧客になる可能性のある人がどれだけいるのかを推測したり。
これらの情報だけでも集客のヒントが豊富に含まれています。まだやっていないのであれば、すぐにでも着手することをお勧めします。
これまで述べた通り、集客・売上の管理をしながら目標達成のためにスタッフを導くと同時に、店内で起こるさまざまな課題の解決やトラブルの収束に努めるのも、店長にとって大変ではありますが、大事な業務のひとつです。
中でもクレーム対応は、ちょっとした見解のズレで大きなトラブルに発展するおそれがありますので、冷静な判断と的確な対処が求められます。
クレームが起きた場合、店長が基本的にするべきことは、まずクレームの全貌を把握すること。
スタッフからの報告を鵜呑みにして対応してはいけません。それはクレーム対応が長引く原因になり営業への支障をきたします。スタッフからの報告をしっかり聞いた上で状況を把握し、お客さまと向き合って言い分を聞くことをしなくてはいけません。
状況を把握したら、お客さまにクレームを入れさせてしまったことに対して、謝罪の意を表しましょう。「本当はクレームなどしたくはないのでしょうが、申し訳ありません」という気持ちを態度で示すことで、お客さまにも冷静になっていただけるかもしれません。
互いの話を整理できたら、その落としどころを探ります。
お客さまは何を求めているのか。返金すればいい、というのは最も簡単で分かりやすい決着ではあるのですが、私はそれは最終手段で、話がこじれてしまった最悪の結末と考えます。
クレームを入れるお客さまの多くは、お金を返してもらいたいわけでなく、納得いかない気持ちの落としどころを求めているのだと思います。私たち美容師がプロとして提案したことに対するクレームには、最後までプロとして責任を持つことが当然だと思います。
そして事後においては、スタッフのフォローも忘れてはいけません。クレーム対応の処理は気分が下がっても仕方がないのですが、それをどう学びにつなげて、その後の営業にフィードバックしていけるか、店全体の課題としてスタッフと共有していく働きかけも、店長の大切な役割です。
最後に、MINXのサステナブル活動について紹介したいと思います。今回の講演テーマ「令和時代のサロンマネジメント」という意味からも、SDGsへの取り組みというのは、私たちの仕事にとって有意義なものであると考えています。
例えば、SDGsの基本として“世界が続くための17の目標”が色分けで提示されていますよね。すでに日本の事業者の7割が、そのいずれかに取り組んでいるんです。
そうすると今、皆さんのサロンを利用されているお客さまの7割くらいは、その企業に勤めていたり、家族を通してそういった話をしていたり、何らかの形で意識していることが想像できます。
さらに身近などころでは、ファッションブランドや生活雑貨のショップでも、SDGsに関連した商品やサービスが導入されています。
世界中で環境保全の運動が広がっているという話題を耳にする機会も増えているように、そういったものを皆で取り組もうというのが、未来の子どもたちのために課せられた私たち大人の宿題なんですね。
まずは、世界のルールが変わったということを理解しましょう。そしてできることからで構わないので、継続して積み重ねていくことが大事。
美容室だと、ラップや手袋の素材をどうするか、シャンプーや薬剤のボトルはどうするか、改善すべき点はたくさんあります。SDGsに取り組んでいることでコミュニティーが生まれて、それがブランドイメージにも反映されていくわけです。
ダーウィンの有名な言葉に「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一、生き残るのは変化できる者である」とあります。
今は、まさにそういうことが求められています。その変化を考えるきっかけになればと思います。
→前回の記事(MINX菅野久幸取締役 「デキる店長革命」① デキる店長になれない7つの理由)を読む
菅野久幸
かんの・ひさゆき/1978年生まれ、山形県出身。東京都内に5店舗を展開するMINXグループの取締役。2013年にオープンした銀座店の責任者を務め、2年で160坪、セット面37面、スタッフ数60人に拡大。美容室のミシュランガイド「KAMI CHARISMA」に、銀座店として「トリートメントスパ部門」で2年連続受賞。MINX全体で7部門の最多受賞。コロナ禍の中、2020年12月の店舗売上は6060万円。この功績は業界でも話題になり、多分野で講師として活躍。中国では「菅野経営学院」を開講。2019年には年間3500人が受講している。
→「MINX流「デキる店長」革命」(女性モード社)
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女性モード社
美容師向け出版物を発行して60年。『ヘアモード』『美容の経営プラン』『美容界』などの月刊誌や各種書籍を発行する美容専門出版社。
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