④高単価メニューの年間利用回数が多い「愛知県」
愛知県は「カラー」「パーマ」「トリートメント」など高単価メニュー利用者の年間利用回数が全国比で多いことが特徴的です。
つまり、高単価メニューの利用において、お客さまの「ロイヤルカスタマーの比率」が、全国トップクラス。上質なものを求めるお客さまが多いことがうかがえます。
愛知県というと、「結婚式が豪華」というイメージや、かつては「名古屋巻き」という縦型の巻き髪の流行など、華やかな装いの風習・文化を持つイメージも強いエリアではないでしょうか。
⑤「富山県」の美容サロン投資が高い理由は?
美容室の年間利用金額2位は富山県です。富山県は美容サロンの利用金額も全国で4位と、美容室・美容サロン利用への投資が積極的なエリアでした。
ここでは、富山県が2位となった背景について考えてみたいと思います。
「2019年全国家計構造調査」では、富山県の世帯単位での年収は、全国で4位!さらに、貯蓄から負債を控除した純金融資産は、全国1位!「家計のゆとり」では全国上位に位置しているのです。
加えて、総務省の「平成29年就業構造基本調査*3」によると共働き世帯比率も全国3位。働く女性が多いのも、身だしなみへの投資金額が高い背景にありそうです。
⑥北陸エリアは美容利用のポテンシャルが高い?
実は今回の調査で特徴的だったのは、「富山県」以外にも「福井県」(フェイシャルサロン利用率 全国1位)、「石川県」(美容サロン利用金額 全国5位)など北陸地方の美容サロン投資が活発だったことです。
背景として考えられるのは、北陸エリアの「所得」や「共働き世帯比率」の高さです。特に共働き世帯比率1位の「福井県」では、3世帯同居率も高いそうです。
美容サロン消費に積極的な背景には、生活のゆとりや、身だしなみの意識の高さがあるのかもしれません。
都道府県別の美容トレンド、いかがでしたでしょうか?
今回のランキングからは、美容の消費は東名阪の3大都市圏に集中しておらず、むしろ地方の美容投資も積極的なことが分かりました。働く女性が多い県ほど美容投資が高まることからも、美容は「流行」ではなく、「身だしなみの必需」と捉えられていることがうかがえます。
田中 公子
ホットペッパービューティーアカデミー研究員
TANAKA KIMIKO/前職は経営コンサルティングファームでIT業界の業務改善に携わる。リクルート入社後、ホットペッパービューティーの事業企画を経て、2012年から現職。調査研究員として、「美容センサス」をはじめとする美容サロン利用調査や美容消費の兆しを発信。セミナー講演、業界誌・一般誌・テレビなど取材多数。共著に『美容師が知っておきたい50の数字』『美容師が知っておきたい54の真実』(女性モード社)ほか。
データ出典
ホットペッパービューティーアカデミー
■「【都道府県別】 20代・30代女性の美容意識・実態調査2021」
*1 国立社会保障・人口問題研究所「人口問題研究」第77巻 第1号(2021年3月刊)
■【特集Ⅱ:第8回人口移動調査の結果から(その6)】02人口移動が親との同居率の地域差に与える影響(丸山 洋平)
*2 「2019年全国家計構造調査」(総務省統計局)
■所得に関する結果及び家計資産・負債に関する結果
■統計表
*3 「平成29年就業構造基本調査」(総務省統計局)