ヴィダルサスーンクリエイティブディレクターのセッションアシスタントを務めるなど、英国で修行を積み、今も毎年、ロンドンを訪れているNobu Etoさん。
ロンドン滞在での一番の楽しみ。ヴィダルサスーン時代の先輩であり、世界の第一線で活躍するアーティストを訪ねます。
兄貴的な存在。TIGIのクリエイティブディレクター・ピエロ
ロンドン滞在も終盤。6日目、7日目は、ロンドンの先輩方に会いに行きました。昔の先輩に会うほど楽しみにしている日はありません。
まずは、TIGIアカデミーにピエロ・ジェンティールを訪ねました。彼は、僕がヴィダルサスーン時代に一番仲良くしていた先輩であり、友人のようなつきあいをしているイタリア人です。
僕が24歳のころ、ナイツブリッジにあるヴィダルサスーンのエデュケーションセンターで学んでいた時、ロンドンに来て1年で右も左も分からない僕に、技術も良いことも悪いことも全部教えてくれたのがピエロでした。
現在はTIGIのクリエイティブディレクターとして、ロンドンのアカデミーで教えています。
ピエロはイタリア人らしく終始冗談ばっかり言っているのですが、ヘアに対する情熱は熱く、美容と女性の話になると真剣です。
僕にとって兄貴的な存在です。
ヴィダルサスーンを離れた後もお互い別々なサロンで働きながらも毎週遊んでいました。僕を色々な方に紹介してくれて、ファッション撮影の世界での道を作ってくれたのもピエロでした。
ロンドンに行った時は必ずピエロに会って、お互いの近況を報告します。
TIGIアカデミーのあるバタシー地区は、テムズ川の南にあるおしゃれな地区です。ヴィヴィアン・ウエストウッドやヴィクトリア・ベッカムのオフィスが同じ区画にあります。
TIGIアカデミーから歩いて20分ほどのところにTIGIライブラリーができたので、そちらも見学させてもらいました。
これまでのTIGIのショーなどで使った衣装やヘッドピースが展示されていたり、TIGIの作品がプロジェクターで天井に映し出されていたり。アーティスティクで、とても刺激になる空間でした。
写真はTIGIのトップのアンソニー・マスコロと僕のBOSSである株式会社Safariの代表の浅井です。
故・植村隆博氏の教え子、ジアニー
翌日は、ジアニーに会いに行きました。
ジアニー・スクマッチはヴィダルサスーンの元クリエイティブディレクターです。
現在はフリーランスで、イタリアンヴォーグなどの一流ファッション雑誌でヘアを担当し、カットの教育者として世界を回っています。
実はジアニーは、DADA CUBUCの故・植村隆博氏のヴィダルサスーン時代の教え子です。ジアニーも植村氏のことを本当に尊敬しています。
僕は19の時に植村氏のセミナーを受けて渡英を決意したので、ジアニーとは運命的な縁を感じます。
僕自身もジアニーから教えてもらったこともあるのですが、ジアニーはテクニカルな部分や仕上げ方、カットに関する考え方などに強く植村氏の影響を受けていると感じます。
カットは僕が教えてもらった中でトップ3に入るくらいうまいです。そして、トップ3に入るくらい厳しい方です。
ジアニーにマンツーマンで教えてもらっていた時期が、一番自分が上達した時期だったのかなと思うくらい、厳しく熱く教えてもらいました。
人間性も素晴らしく、本当に尊敬しています。
他にもお世話になった先輩はたくさんいるのですが、ピエロとジアニーとは、いつか日本でセミナーを開催したいと思っています。
毎回新しい刺激を得る街、ロンドン
8日目と9日目に2日連続でJHA用の作品撮りを行い、帰国しました。
目的である作品撮りと海外の感覚を感じることができて、今回もとても充実したロンドン滞在となりました。
毎年行くロンドンですが、毎回新しい刺激を得ます。
イギリスの文学者サミュエル・ジョンソンが残した『ロンドンに飽きた者は人生に飽きた者だ』とは、本当に妙を得た言葉だと思います。
現在公開中の映画『ボヘミアンラプソディー』を観ながら、来年はロンドンで何をしようかなあと考えてしまいます。
※今回で、ロンドン研修記は終わりです。ご愛読、ありがとうございました
Nobu Eto
Safariクリエイティブディレクター。日本でのサロン勤務を経て2004年に渡英。ヴィダルサスーンアカデミーを卒業後、ヴィダルサスーンクリエイティブディレクター、ビリー・カーリーのセッションアシスタントを務める。2010年、ディレクターが独立して開いたサロンにスタイリストとして参加、カットの教育を担当する。
Instagram : safariacademy