それでは店販ではどのような商品がコロナ禍に購入率が増加したのでしょうか?
前年から購入率が増加した商品を挙げると、最も購入率が高いのはトリートメント(洗い流すタイプ)の51.5%、次いでトリートメント(洗い流さないタイプ)の44.9%。
美容室のメニュー利用でも「トリートメント」利用率がコロナ前から上昇していることをお伝えしましたが、店販でもトリートメントニーズが高いことが分かります。
その他、「スキンケア・ボディケア・コスメ用品」については、30代が平均の約2倍の購入率11.5%でした。検索エンジンの「コスメ部門賞」でも選ばれたサロン専売品のファンデーションの人気も背景にあるかもしれません。
店販に対する今後の購入意向(購入経験者・未経験者を含む) は、「購入したい」「購入を検討したい」「良いものがあれば購入を検討したい」が62.8%です。
このうち「購入したい」という明確な意思を持つ女性は10.9%。現状の「ここ1年間での店販の購入率」14.6%を下回りますが、「購入予備軍」とも言える「購入を検討したい」「良いものがあれば購入を検討したい」が約5割いることは今後の店販の可能性を示しています。
コロナ禍で来店頻度が落ち込んでいる中で、お客さまも「自宅ケア」に対する意識は高まっているように感じます。加えてコロナ禍での「髪質改善意向」など、本質的なケアに対するニーズの高まりからも、「プロの商品」に対する期待の高まりもうかがえます。
こうした中で「これまで店販購入をしたことがない(初心者)向け」のご提案手段として注目されているのが「店販連動メニュー」。
前回の記事で紹介した表参道の「Rr SALON AOYAMA」でも『ホットペッパービューティー』では、「ホームケア付/1万6,500円髪質改善」という店販商品を組み込んだクーポンが人気です。
※Rr SALON AOYAMAの詳しい取り組みについては前回の記事を参照
店販を経験したことのないお客さまに、クーポンやメニューに組み込んで「まずは体感いただく」ことは、最初のハードルを下げるのに役立ちそうです。
このほか他店の事例では、「ハイトーンカラー」のメニューに髪質改善トリートメントのホームケアをセットした店販連動クーポンや、「インナービューティー」の商品と組み合わせた店販連動メニューなどもあります。
こうした「仕組化」によって、利用者層を広げる取り組みは今後も広がっていきそうです。
田中 公子
ホットペッパービューティーアカデミー研究員
TANAKA KIMIKO/ホットペッパービューティーアカデミーの調査研究員として、2012年から活動。「美容センサス」をはじめとするカスタマーの美容サロンに対する利用行動・意識調査や美容消費の兆しを発信。セミナー講演、業界誌・一般誌・TVなど取材多数。共著に『美容師が知っておきたい50の数字』『美容師が知っておきたい54の真実』(女性モード社)ほか。
データ出典
「美容センサス2021年上期≪美容室・理容室編≫」
〇ホットペッパービューティーアカデミー(2021年6月発表)
〇調査期間:2021年2月12日~2月22日
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