クリーニング大手グループの新事業として始まり、今年で20周年を迎える「サンキューカット」。カット10分1200円の単一メニューで、全国に272店舗をフランチャイズ展開している。
2021年7月1日、今年度のイメージキャラクターとして俳優の杉浦太陽さんを起用すると発表した。杉浦さんの起用は2012年以来、9回目となる。
「ホワイト急便」でおなじみ中園HD傘下の美容室
「サンキューカット」の運営元であるサン・クエスト株式会社は、中園ホールディングスのグループ企業。
中園ホールディングスは傘下の株式会社日本さわやかグループを通じて、クリーニングの「ホワイト急便」(全国6000店舗)をフランチャイズ展開している。
美容業界へは、2001年9月に、中園化学株式会社サンキューカット事業部の発足をもって参入。
カット10分1200円のヘアカット専門店としてFC展開を加速し、「サンキューカット」は店舗数が全国272店舗の一大チェーンとなっている(2021年6月末時点)。
ちなみに、「QBハウス」の国内店舗数は同時期で565店舗。QBハウスが圧倒的とはいえ、サンキューカットもその半数ちかい店舗数がある割には業界内での知名度がそこまで高くない。
なお、2007年よりリーズナブルな価格帯の「メリィ・メリィ ヘアーハウス」、2016年よりカラー専門店「ヘアカラーマイパレット」もスタートしている。
サン・クエストの美容事業
2001年9月
中園化学株式会社 サンキューカット事業部として発足
2002年9月
株式会社サンキューカット設立、FC展開を開始
2006年6月
全国100店舗達成、現サン・クエスト株式会社に社名変更
2007年7月
メリィ・メリィのFC展開開始
2010年1月
全国200店舗を達成
2013年10月
海外店舗1号店を台北市(台湾)にオープン
2016年12月
ヘアカラーマイパレットのFC展開開始
参考:同社HP「会社沿革」
杉浦太陽さん、9回目の起用
「サンキューカット」のイメージキャラクターは、2012年から長らく杉浦太陽さんが務めており、今年度の起用で9回目を数える。
元モーニング娘。の辻希美さんとの間に4人の子どもがいる“イクメン”として知られており、老若男女問わず幅広い客層のサロンというブランドイメージと合致しているという。
イメージキャラクターの起用は、顧客向けプロモーションだけでなく、美容師のリクルートも目的。今後も、積極的な出店と加盟店募集、新規採用を進めていく構えだ。
杉浦太陽さんからのメッセージ
サンキューカットさんと歩んできたこの9年。10年目に差しかかりますが、僕も各店舗いろんなお店に訪問させていただきました!
お子様からご年配の方まで幅広い世代のお客様に支えられているんだなと実感しております。
サンキューカットで、たくさんの人が笑顔になれますように。
これからもよろしくお願いします。
編集長の目 「美容室は異業種参入先として魅力的?」
縮小するクリーニング市場
実は2年前にも、「サンキューカット」の記事を書いています。当時の「ホワイト急便」の店舗数は約7000店でしたが、現在は約6000店。この2年で1000店舗も減少したことになります。
クリーニング市場の縮小は、厚生労働省の「衛生行政報告例」をみても明らかです。クリーニング施設数(機械を備えた一般所+取次所)は1997年の16万4225店をピークに減少の一途をたどり、2019年には8万6043店とほぼ半減しています。
主たる要因は、ファストファッションのまん延。“クリーニングに出すほどではない安い服”を買ってシーズンが終わる頃にはくたびれているので捨てる、自宅で洗濯して傷んだら買い替えるという人が増えるにつれ、クリーニングの需要は減っていきました。
さらに、コロナ禍におけるテレワークの増加や冠婚葬祭の減少によって、ワイシャツや礼服などの持ちこみが激減。一層の売上減に苦しむクリーニング店が多いと聞きます。
こうなってみると、20年前に新規事業としてサンキューカットを立ち上げていたのは先見の明があったといえます。
外食産業苦戦で美容業界に関心
また昨今は、苦境にあえぐ外食産業から美容業界へ投資先を変えようという動きも出てきました。
私も相談を受けることがありますが、FCのノウハウを活かしやすい形態として、ヘアカラーやヘアカット専門店(教育コストを抑えて低価格多店舗展開)への関心が高いです。
美容室はオーバーストアで競争が過熱していますが、それでも縮小市場に身を置く異業種の目には魅力的に映るのでしょう。彼らは、戦略的な経営をすれば勝機があると思っている節があります。
既存の美容室による拡大策も目立ちます。飲食店やアパレルが撤退したテナントに新店舗を出すケースが相次ぎ、美容室はいま出店ラッシュだと言われるほどです。
2021年も後半に入りましたが、今年、来年の動きは、これまで以上に注視していかなければと思っています。