文・写真 女性モード社
美容業界に限らず、大抵のショップには「店長」という役職が存在しています。
しかし、セミナー活動で全国各地を回っていて、各地域の美容師の方にお話を聞いてみると、店長の業務とは何なのか、きちんと教わったという方はほとんどいません。
実際に、店長の役職にある受講者の方に「店長って何をやっているの?」と聞くと「別にこれといったことはやっていない」という答えが返ってきます。
「じゃあ、なんで店長なのか」と聞いてみると、やはり説明はできず、「役職をもらってはいるけど、深く考えたことはない」と要領を得ない回答が多いのです。
そのことで悩んでいる店長は少なくありません。いざ店長になってみたものの、オーナーにも相談しにくいという方は相当数いると思います。
そういう悩みに応えたいという思いから、このたび『MINX流「デキる店長」革命』というタイトルで、店長が考えるべきこと、すべき行動のヒントを1冊の本にまとめました。
私が勤務するMINX銀座店は、スタッフが60人というかなり大規模な店舗で、自分は5人の役員を統括する役割にあります。
本書には、私が普段から店長たちに話していること、心がけてもらっていることをすべて詰め込みました。
今日はその内容をダイジェスト的にお伝えしますので、新たな気づきがあれば嬉しく思います。
①店長業務がどういうものかが分からない
②管理業務に集中できない
③店長がいろいろな仕事を抱えすぎ
④評価されないことでモチベーションが下がっている
⑤感情のコントロールができない
⑥コミュニケーションが苦手
⑦スタッフの底上げができない
まず、最初の入り口としては「売れているスタイリストが必ずしも“デキる店長”になれるわけではない」ということです。
美容室では、売上が高く、より多くのお客様に支持されるスタイリストが、現場の第一線において存在感を発揮します。
中にはその存在感だけで人を引っ張れる人もいます。
ただ、多くの人たちは、デザインや技術の追求はしていても、人を管理する勉強はしていません。
そのため、目の前の店長を手本にしたり、コミュニケーションを取って経験を積みながら、リーダーシップを学んでいくことになります。
要は、リーダーシップというのはスキルなのです。中には生まれ持ってのリーダー気質という人もいますが、このスキルは技術と同様、経験によって誰でも磨いていくことができます。
ですから、売上面でハイパフォーマンスを発揮できていなかった人でも、逆に「デキる店長」になる素質が隠れている可能性も大いにあるわけです。
では、「デキる店長」になれない理由として、どういったことが考えられるのか、自分なりに7つの理由にまとめました。
大前提として、冒頭にも述べた通り「店長がどういうものか分からない」ということがあります。
売上を管理する立場であることは何となく分かっていても、任命されたスタッフは、具体的に明日から何をすればいいのか分からず、先のことが見えていないので動けないのです。
サロンワークにおいてはプレイヤーとして働いてますから、なかなか店舗管理に集中できない状況にあります。
「営業(サロンワーク)と店舗リサーチなどの管理業務にかける時間のバランスをうまく取ることができない」と悩む店長は多いと思います。
よくありがちなのが、店長がいろいろな仕事を抱えこんでしまうこと。
自分でやった方が早いかもしれないし、間違いもないかもしれませんが、ある程度、スタッフに任せる意識を持たなければ、自分の時間がどんどんなくなってしまいます。
4点目は、オーナーから評価されないことでモチベーションを下げてしまうこと。
店長は店の中では一番上の立場にあるので、なかなか褒められる機会がありません。そこは自分で自分のモチベーションを上げて、働く意欲を高めていくしかないのです。
感情のコントロールが利かない人も、店長としては力不足です。
忙しい時に限って、スタッフが次々と問題を持ってくることはよくあります。
しかし、営業上でのクレームなど、店長が出ていかなくてはならないという場面で、忙しさのあまり感情的な対応を取ってはいけません。
スタッフとコミュニケーションがうまく取れないと、なかなか互いの意思疎通ができず、トラブルの元になります。
背中を見せるというタイプの人もいるかも知れませんが、自分が何を考え、スタッフが何を思っているのか、お互いに言葉にしなければ伝わらないことの方が多いと思います。
世代間のギャップが大きいほど、意思の疎通は難しくなるのです。
最後の1点は「⑥コミュニケーションが苦手」とも結びついています。
スタッフの人柄や能力を理解できないと、気の利いたアドバイスもできないですし、スタッフの良さを生かした売上をつくることもできません。
スタッフの底上げができなければ、「デキる店長」にはなれないのです。
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