1つのフロアに個室型サロンが複数入る「モール型美容室」。
The Salons Japan株式会社は今春、モール型美容室『THE SALONS』の1号店を東京・表参道に出店する。
最短で4月、遅くとも6月にはオープン予定。出店申し込みはオープンの2カ月前から受けつける。
これに伴い1月15日、東京・新橋の資生堂プロフェッショナル本社で事業説明会を開催。清水秀仁社長がモール型美容室の概要や企業理念を説明した。
支払いは定額賃料のみ
完全個室に区切られた独立サロンの集合体が、モール型美容室。店名は自分でつけ、内装もカスタマイズできる。
1号店は、60坪(約200㎡)程度のフロアに9サロンが入る想定。それぞれのサロンスペースは4.5~5坪(約15~16.5㎡)で共有スペースと合わせて8坪(約26㎡)程度を利用することになる。
サロンオーナーからTHE SALONSへの支払いは定額賃料のみ。月額26万5000円〜28万5000円(税別)で、光熱費も賃料に含まれる。
モールとしては24時間営業を行うが、各サロンの営業時間は自由。
セット面完備。レンタルタオルも無料
あらかじめ、1部屋(1サロン)当たり、セットイス2脚、バックシャンプー1台、ミラー2点が備えつけられているため、ワゴンなどを買うだけで済む。
レンタルタオルは月に300枚まで無料で利用可能。エアコン、照明器具、シンクもTHE SALONSで用意する。
契約期間は3年。更新の際、地価の変動によって賃料の見直しが入る可能性がある。途中解約は6カ月前に申告する。仲介手数料、償却(礼金)は無し。
契約から3カ月分、退去前3カ月分の家賃は、それぞれ先払いとなる。
モール型美容室の強みは「集団の力」
内科や皮膚科、歯科、調剤薬局が1フロアに集まった“医療モール”は、単体のクリニックに比べて認知度が高くなり、患者が集まりやすいと言われる。
同様に、モール型美容室も、さまざまな得意分野や個性のある美容室を始め、エステティックサロン、アイラッシュサロン、ヘアメイクアップアーティストの事務所兼アトリエなどが集まることで存在感を示すことになる。
「商業施設の場合、モール型美容室に来店した女性が、帰りに洋服を買うといった行動が期待できる。サロンが集まることで、世の中から注目を集められる」(清水社長)といい、すでに複数の大手ディベロッパーから誘致の声がかかっているという。
また、美容材料を、モール型美容室全体で共同発注することで安く仕入れられる。一つひとつは独立したサロンでありながら、モールで集団となることでスケールメリットが得られる。
クーポンサイトに頼らない集客を目指す
集客に必要なホームページについては、制作からSNSとの連携、予約システム連携までサポート体制を整える。
モールとしてのホームページも開設するため、THE SALONSの知名度が上がっていけば、そちらからの流入も期待できる。目指すのは、クーポンサイトを利用しなくても集客可能な体制だ。
さらに、経理関係についても、会計士による無料セミナーなどのサポートを予定している。
ボードメンバーは現役美容師とIT業界関係者
The Salons Japan株式会社は、昨年11月に設立されたばかり。
東京・原宿でLani5710、フィリピン・マニラでHide2Aを経営する清水秀仁氏が代表を務め、現役美容師とIT業界関係者がボードメンバーとして顔をそろえる。
美容師からは、フリーランス美容師歴5年で、米国のモール型美容室のコンサルティング経験のある髙原卓玄(たくげん)氏、一般社団法人日本訪問理美容推進協会の代表理事を務める田村明彦氏が参画。
IT業界からは、LINEビジネスパートナーズ社長、イオンドットコムCSOを歴任した窪島剣璽(けんじ)氏、ウェブ及びリテールサポート事業を展開するアズの社長である藤田知礼(ともゆき)氏、動画事業に強みを持つBUZZCASTのCTOを務める新田晃央氏が参画する。
市場を美容師自身でハンドリングしたい
The Salons Japanの理念は「美容業界の夢と未来をつくる」「美容師・ビューティシャンの社会的地位向上」「美容師・ビューティシャンによる、美容業界がもつポテンシャルの活用」の3つ。
説明会の席上、清水社長は「美容業界は1.5兆円もある市場なのに、美容師が低賃金で社会的地位が低く見られるのは、市場を自分たちでハンドリングできていないから」と指摘。
同じ顧客が数カ月ごとに1万円程度を支払うサービス、その際に2時間近くのセールストークを行える業種は希少であり、本来、美容業界は高いポテンシャルを秘めていることを強調した。
さらに「IT業界が提供するフォーマットに利益の大半を支払っているのは日本だけ。THE SALONSはIT業界と戦うつもりで、システムについてはかなりの戦略を練っている」と気を吐く。
現役美容師とIT業界のエースをそろえた陣容で、美容師が適正な利益を確保できる業界構造へと変革を図る。
他業種とマッチング狙う
モール型美容室のビジネスモデルは「サロンとしては小規模の独立。しかし、集団として力を持つことで、他業種がマッチングしたい存在になる」というのがポイント。
例えば、美容室チェーンや有名美容室に対しては、メーカーから推奨販売の話が持ち込まれる。知名度のない独立したばかりの小さなサロンであっても、モール型として集団になることで、同様の話が来るようになるという。
「美容師さんからは最低限の金額しかもらわないという考え。賃料だけでは、THE SALONSはもうからない。他業種とのマッチングで大きくしていく」(清水社長)。
今後の展望としては、早期に表参道、青山、銀座で直営3店舗を出店した後、FC展開を行うという。
アメリカでは、メジャーなスタイルとなっている「モール型美容室」。働き方が多様化する中で、新たな選択肢のひとつとして日本でも根づくか、注目が集まる。
【お問い合わせ】
The Salons Japan株式会社(東京都世田谷区松原2丁目-43-11 キッドアイラックビルヂング 2階)
担当:清水氏(shimizu@thesalons.jp、TEL:090-1427-6274)
ホームページはhttp://www.thesalons.co/
フェイスブックはhttps://www.facebook.com/thesalonsjapan/
★シェアサロンとの違いは、こちらの記事をどうぞ
⇒低リスクで独立! 月額30万円以下でサロンオーナーに。モール型美容室「THE SALONS」が来春、表参道に1号店。