ヴィダルサスーンクリエイティブディレクターのセッションアシスタントを務めるなど、英国で修行を積み、今も毎年、ロンドンを訪れているNobu Etoさん(Safari)。
今回は、クリエイティブ撮影の現場について。
1年間のうち5カ月は、このロンドンでの作品撮りのことを考えているというNobuさんがレポートします。
毎年恒例、ロンドンでの作品撮り
ロンドン滞在3日目は、JHA用の作品撮りを行いました。
毎年、ロンドンで3日間かけて撮影します。
このために、3カ月も前から、コンセプトを決めたり、モデルのキャスティングをしたりして、当日を迎えます。
撮影後も、写真のセレクトからレタッチが上がって来るまでに2カ月ほどかかるので、1年間のうち5カ月は、このロンドンでの作品撮りのことを考えていることになります。
今後は、もう少しタイトにしないといけないと思っていますが。
サスーンクリエイティブディレクターに師事
僕は2004年に渡英し、ヴィダルサスーンアカデミーを卒業後、ヴィダルサスーンのクリエイティブディレクターであるビリー・カーリーのセッションアシスタントを務めました。
ビリーが手がけるショーや一流雑誌の撮影の現場に同行し、その仕事に触れられたことは、僕の大きな財産です。
その後、2010年にビリーが独立して開いたサロンに、スタイリストとして参加し、カットの教育を担当しました。
毎年、同じチームで撮影
僕自身の作品撮りを始めたのは、2012年からです。
毎回同じフォトグラファー、衣装スタイリスト、メイクのチームで行います。自分で言うことではないかもしれませんが、毎年続けていると、作品のクオリティーが上がってきている実感はあります。
結果もついてくるかと問われると、作品のクオリティーが上がった=受賞とはならないと答えざるを得ないのですが。
賞は審査員あってのことですから、なかなか一筋縄ではいかないでしょうが、やり続けることで見えてくるものもあり、いつかは結果につながると思っています。
根本にあるのは、クリエイティブが好きだからという気持ちです。好きだからやる、好きだからやり続ける、のだと思います。
日本の撮影経費は激高
クオリティーも上がってきていますが、撮影経費も上がってきているのは嬉しくない事実ですね。
当初はスタジオ代、モデル代や諸々合わせても1日数万円で撮影できていましたが、スタジオ機材やモデルにこだわり始めると10万円を超えることも!
以前、JHAの常連の先輩方と飲みに行った際、1回の撮影にかける金額を聞いてびっくりしました。数十万円かける方もいらっしゃいます。
日本では、スタジオ代、モデル代、カメラマンさん代が激高に感じます。
それに比べてロンドンは、スタジオ代が都内の5分の1以下、モデル代は半額ほど。フォトグラファーも人によりますが半額程度。
日本の美容業界も、もっと一般の美容師がクリエイティブな作品撮りができるお値段になればいいのにと思います。
若い世代にもクリエイティブできる環境を
だから、日本ではリアリティブが流行ることになったのかもしれません。
リアリティブはリアリティブでありだと思いますが、クリエイティブをできる環境(金銭面と時間面)が整わないと、若い世代のクリエイティブ離れという問題の根本的解決にはならないのではないでしょうか。
話がそれてしまいましたが、今年の僕の作品撮りは、かなり良い作品が撮れたと実感しています。
この原稿を書いている段階では、まだレタッチが上がってきていないのですが、2019年のJHAが今から楽しみです。
※次回は、ヨーロッパの美容専門雑誌『TRIBUTE』が主催するヘアショー『トリビュートショー』をレポートします
Nobu Eto
Safariクリエイティブディレクター。日本でのサロン勤務を経て2004年に渡英。ヴィダルサスーンアカデミーを卒業後、ヴィダルサスーンクリエイティブディレクター、ビリー・カーリーのセッションアシスタントを務める。2010年、ディレクターが独立して開いたサロンにスタイリストとして参加、カットの教育を担当する。
2013年、2014年資生堂ビューティーイノベーションアワード優秀賞。2014年、2015年NAKANOテクニカルコンペティション優秀賞。2014年、2017年JHA(ジャパンヘアドレッシングアワード)ライジングスター、エリアスタイリスト部門ファイナリスト。2016年JHAニューカマーオブザイヤーファイナリスト、エリアスタイリストオブザイヤー受賞。
Instagram : safariacademy