従来の渋谷や原宿とは異なる雰囲気の街として、密かに注目を集め始めている東京・渋谷一丁目、“シブイチ”。
今年4月1日、シブイチにオープンした「% PERCENT(パーセント)」は、ショートボブが好きな大人女性が通う美容室。10坪にセット面5つを備えてもスッキリとした印象の店内には、穏やかな時間が流れる。
オーバーオールがトレードマークの今井洋人(いまい・ひろと)オーナーに、サロンのこだわりや将来像を聞いた。
渋谷駅13番出口から徒歩2分、明治神宮前駅から6分。渋谷駅から近く、それでいて繁華街からは少し距離をおいた、大人の雰囲気が漂うシブイチ。
大通りから一本入った路地のため車も通らず、渋谷とは思えないほど、静かで穏やかな空気が流れている。
青山・原宿で3店舗を経て独立した今井さんが選んだのは、そんな大人の街の路面店だった。
「渋谷には、大人向けの美容室があまりない。僕が得意とするのは大人に似合うショートボブなので、オフィス街に近い、このエリアが合っています」と、今井さんは話す。
パーセントの顧客は8割強が女性で、30代が中心。経済的に自立していて、美意識の高い女性が多い。
オープンから半年余りが経ち、リピートは順調だという。女性客の夫を紹介されたり、飲み仲間が来たりと、男性客も増えてきた。
パーセントは、わずか10坪にセット面5席、シャンプーユニット2台を備える。
広さを感じさせるため、壁面に大きな鏡を貼った。セット面の奥行をボールペン1本程度に抑え、セットイスほど場所を取らないラウンジチェアを置いている。
壁は白、床はコンクリート、天井は貼らずに配管をそのまま見せるシンプルなつくり。シャンプーエリアの床とセット面に用いた木材が温かみを添える。
「10坪に収めるため、レイアウトはミリ単位で徹底的にこだわりました。その甲斐あって、窮屈さは感じないと言われます」。
セット面の台は雑誌も置けない幅だが、ページに挟まる髪の処理が手間なので元々置くつもりがなかったという。代わりに、デジタル書籍サービスの入ったiPadを各席に用意している。
今井さんが店を探し始めたのは、今年2月。この店は美容室NGの物件だったが、何度も交渉してOKを勝ち取り、3月に着工、4月にオープンと、急ピッチで開業を進めた。
独立を決めたのは、会社の求める仕事と自分のやりたいことが合わなくなってきたから。
「薬剤をいじったり、シャンプーを作ったりすることに熱中してきて、そのために時間を使いたかった。自分のやりたいことをするには、自分で店を持とうと思った」。
自分のサロンで、オリジナルシャンプーをつくると決めている。「パーセントという店名は、シャンプーボトルに入れるロゴをどんなデザインにしたいか、その形から考えました」。
オープン時には「%」のステッカーシールをつくり、上着を預かる番号札も、真ちゅうの板に「%」のロゴを刻んだ。
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