コロナ禍前後の収入・支出 「変わらない」が最多、「収入減」が3割

経営・業界動向
コロナ禍前後の収入・支出 「変わらない」が最多、「収入減」が3割

コロナ禍で生活者の収入や支出はどう変化したのか。日本トレンドリサーチ(運営:株式会社NEXER)は、全国の男女2,300名を対象に「コロナ禍前後の収入・支出」に関するアンケートを実施した。

収入「変わらない」が6割超

トレンドリサーチ コロナ禍収入支出変化

「コロナ禍前後の収入に変化がありましたか?」という質問に、66.7%の人は「変わらない」と回答。次に多かったのは「減った」で30.0%「増えた」は3.4%にとどまった。

「減った」要因に「コロナ禍の人の動き

全体の30.0%の人が収入が「減った」と回答している。

その理由のひとつとして「自営業で美容室を経営しているが、来店間隔が伸びたりホームカラーへの移行などかなり売り上げ額が落ちた」(30代・男性)や、「緊急事態宣言の出た地域で職場が飲食店の為、出勤が無くなった」(40代・女性)など、美容室や飲食店などの来客数の減少が影響しているという意見があった。

また、「業績の悪化により、ボーナスの減額があった」(40代・男性)という回答や、アルバイトやパートなど非正規雇用の人からは、シフトの減少によって収入が減ったという意見も多く見られた。

その他の回答
・扱っている商品が外国のロックダウンによって輸出入が出来なくなったため。(50代・男性)

・コロナ前はほぼ夜勤だったのに、日勤が増えてしまった。(20代・女性)

・アルバイトから得られる収入がシフトの減少で減った。(20代・男性)

・コロナにより勤務していた会社から解雇されたから。(60代・男性)

・ブライダルピアニストをしています。挙式が減ったので収入も減った。(40代・女性)

・アパレル系ですが、外出する人が少なくなったので服や雑貨が売れなくなった。(30代・女性)

・スポーツの試合へスタッフとして参加して得られる収入が、大会の中止や試合の減少などでほぼなくなってしまった。(60代・男性)

「増えた」背景に「巣ごもり需要の伸び

一方、収入が「増えた」と回答したのは、全体のわずか3.4%だった。

増えた理由として、コロナ禍で人々が自宅で過ごす時間が増えたことによる巣ごもり需要があげられる。

「物販。子供向け商品を取り扱う職種のため、巣ごもり需要により増えた」(30代・女性)や、「ゲームコンテンツメーカーなので在宅で需要が増えたのと、版権を持っている『鬼滅の刃』の大ヒット」(50代・男性)など、通販やゲームメーカーの売り上げが伸びたことによる。

また、株や仮想通貨への投資によって収入が増えたと答えた人もいた。

その他の回答
・ネット通販で売り上げアップで収入が増えた。(70代・男性)

・ブログを始めていたが、在宅によりブログをやる時間が増えたため、ブログの収益が出るようになった。(30代・女性)

・メインの仕事のほかにかけもちでやるアルバイトの数を増やした。(60代・男性)

・株の売買収入が主な収入である。株価が上がっている。(70代・男性)

・特に仮想通貨の投資。(40代・男性)

・コロナ禍で下がった株を購入してその利益を得た。主人の給料が増えた。(30代・女性)

支出「変わらない」が約6割

こちらも収入同様、「変わらない」と答えた人が59.3%と約6割に上った。次に多かったのは「減った」で26.4%「増えた」と答えた人は14.3%だった。

支出「減った」理由に「消費場所の減少

26.4%の人が、支出が「減った」と回答している。その理由に、「好きなアーティストのライブが中止になり、グッズやCD代の支出が減った」(60代・女性)、「旅費交通費、外食費、出かける機会が減った、飲み会が中止になった」(40代・男性)など、これまで消費場所や機会の減少があげられる。

また、「節約を心掛けるようになった」(40代・男性)、「娯楽費を削った。タバコをやめた」(40代・女性)など、生活スタイルの変化によって、金銭感覚の変化をあげた人もいた。

その他の回答
・飲み会に行かなくなったため、そのお金が浮いた。(20代・女性)

衣服費や美容費が、在宅勤務になったことにより減った。(40代・女性)

・ファッションや映画鑑賞などの趣味に関わる支出がほとんどなくなった。(20代・女性)

化粧品や被服品が外出がない為、買うことがなくなった。(40代・女性)

・旅行に行かなくなったので、旅行の費用の支出が減った。(70代・女性)

・コロナで緊急事態宣言で何処にも行けないので、消費場所がないから。(40代・女性)

支出「増えた」原因は「在宅時間の増加

支出が「増えた」は14.3%で、「減った」(26.4%)の約半数に留まった。その理由として、緊急事態宣言やテレワークによって増えた在宅時間があげられる。

「家でご飯を食べる機会が増えたので、食材やおやつ、お酒を購入することが多くなった」(40代・女性)、「テレワークが増えたため、通信環境の整備や食費が増えたから」(50代・男性)など、自宅で過ごす時間が増えたことによる食費や光熱費、テレワークによる通信費の増加が家計に影響しているようだ。

また、「ストレス発散で、ネットでの買い物が増えたと思う」(50代・男性)、「自宅で快適に過ごすための家電、スマートスピーカー等を一通り買った」(40代・男性)など、趣味やストレス解消目的でのネットショッピングなどで無駄遣いしてしまうという意見も見られた。

その他の回答
・外出が減ったので、家で遊べるオモチャを買うようになった。(30代・女性)

・コロナ禍でおうち時間を充実して過ごそうと、様々な暇つぶしアイテム等を購入してしまったから。(10代・女性)

・DIYする時間が増えて資材などに出費が増えた。(40代・男性)

・コロナ対策で、消毒液や医薬品などの支出が増えた。(50代・男性)

・制限されると逆に一回のご飯で贅沢になってしまったり、家でゲームの課金や、ネットショッピングを無駄遣いしてしまうため。(20代・女性)

今回の調査では、コロナ禍の前後で収入・支出とも「変わらない」人が多かったものの、収入は30.0%、支出も26.4%の人が「減った」と回答しており、今後、節約傾向が強まることが懸念される。

実際、フリー回答でも、売り上げが減少したという美容室経営者、美容に使うお金が減ったという生活者の声が上がっている。これからの美容室経営や店販では、これらの変化を踏まえた施策が求められることになりそうだ。

「収入・支出」に関するアンケート
■調査日
2021年3月17~19日
■集計対象人数
男女2,300名(30代以下、40代、50代、60代以上、各280名)
※原則として小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合がある
■モニター提供元
株式会社NEXER
■引用元
日本トレンドリサーチによる調査

関連キーワード

注目キーワード

新着記事一覧   トップページ  
Top