東洋経済新報社で2誌の編集長を歴任した加藤千明さんによる美容業界上場企業の決算徹底分析レポート。
第2回は、サロン専売メーカー最大手であるミルボンの2020年12月期通期決算を取り上げます。
文・作表 加藤千明 ※図は決算資料より引用
決算の概要
ミルボンの2020年12月期連結売上高は357億2500万円で、前年比1.5%減少しました。
2020年4月の緊急事態宣言によって、多くの美容室が営業を取りやめたり、時短営業を行ったりしたことは、美容室向けの製品を製造している同社にとっては大きな痛手となりました。
ただ、その後は持ち直し、下期は新型コロナ前の水準に回復しましたが、年間合計では前年を上回ることはできませんでした。
本業のもうけを示す営業利益は63億9400万円で、前年比5.3%の減少となりました。売上高が減少したことに加えて、人件費などの固定費が増えた(販売費及び一般管理費0.2%増)ことが要因です。
また、投資有価証券の売却益があった一方、為替差損を計上するなどの結果、当期純利益は前年比6.9%減の42億400万円となりました。
1996年の上場以来、売上高は23期連続の増収を続けてきましたが、2020年は初めて減収となりました。純利益も2013年度以降、19年まで7期連続増益が続いてきましたが、8期目でストップした格好となりました。
四半期ベースの推移
四半期ベースの売上高の推移をみてみると、1~3月期が少ない一方で、10~12月期は多くなるという特徴がわかります。
17年から19年では、4~6月期は1~3月期よりも10億円以上の売り上げ増となっています。しかし2020年は、新型コロナの影響で、1~3月期と同水準にとどまりました。例年と同じパターンであれば、プラス10億円程度の売り上げが見込まれたものと推測できます。
7~9月期以降は回復し、とくに10~12月期は前年同期比9%増と大きな回復を見せました。