世界中の人々がコロナ禍に見舞われ、当たり前の生活もままならない昨今。なんとかお店を続けたい、お客さんに喜んでもらいたい、従業員を守りたい・・・そんな思いで経営を続ける多くの方々。
リクルートではサービスを通じて、「街を元気にしたい」「集客をしたい」などお店の想いに寄り添ってきました。今できることは領域を横断して不可逆な変化から見える“兆し”を発信することではないかと考え、“コレカラ会議”という情報発信の取り組みを実施しています。
今回は2021年3月18日に開催したコレカラ会議での美容領域の発表内容と、そこから見えるコロナ禍でのサロン経営のヒントをご紹介します。
文・作表 田中 公子(ホットペッパービューティーアカデミー研究員)
目次
①施術の「自宅への切り替え」意向は極めて低い
「コロナ」は私たちの生活を大きく変えていきました。美容も例外ではありません。2020年4月の1回目の緊急事態宣言中は美容サロンに「通いたくても通えない」という状況が生まれました。
そんな中で気になるのは、サロンの施術を「自宅に切り替えたかどうか?」ではないでしょうか。2020年5月のカスタマー調査の結果です。
「一時的に切り替えた」は約半数でしたが、「今後もずっと切り替える予定」は7.6%で1割にも及びませんでした。
②「白髪染め」の「自宅への切り替え」意向は1.4%!
ヘアサロンメニューで詳しく見てみましょう。
ヘアサロンでは「白髪染め」や「前髪カット」を中心に4割以上の人が一時的に自宅でのセルフケアに切り替えていました。しかし「今後もずっと切り替える予定」と回答した人は、白髪染めが1.4%、前髪カットでも3.9%と非常に低かったのです。
特に白髪染めは、市販品も多く販売されていますが、やはり自宅でやると「手間」「仕上がりにムラができる」「汚れる」など不満も大きかったのではないでしょうか。「プロだからこその価値」が浮き彫りになりました。
③通っているサロンは変更した?
それでは実際にコロナ後(2020年4月以降)、お客さまのサロン使いはどう変わったのでしょうか?
「2020年4月以降に通っている美容室を変更したか?」という質問に対して「コロナ後(2020年4月以降)にサロンを変更」と答えたのはたった0.6%。「コロナ前と同じサロンを継続利用」が77.3%でした。
もちろん「継続利用」には「一時的に別のサロンを利用した」も含まれています。確かに緊急事態宣言中、その後も都心の商業地を中心に「出かけづらい」状況が続いていましたが、全国のデータでは、約8割が同じサロンを継続していることが分かります。
2020年5月以降の緊急事態宣言明けは「新規」よりも「リピーター」のお客さまの戻りの方が早かったというサロンさんの声はよく聞きます。コロナによって、「リピーター獲得」がこれまで以上に重要になっているのではないでしょうか。
④継続のキーポイントは「施術者への信頼」
それではサロンのリピートのキーポイントはなんでしょうか? コロナ前と同じ美容室を「継続」するお客さまに理由を聞きました。
1位は「施術者・スタッフを信頼しているから」で62.2%。2位以下を大きく引き離す結果に。「自宅付近」や「衛生対策」ももちろん大事なのですが、それ以上にコロナ禍にお客さまとサロンを結び付けているのは「信頼」であることが分かりました。
「ホットペッパービューティー」の口コミからも担当美容師さんを信頼して美容室に通うお客さまの姿がうかがえます。
ホットペッパービューティー 口コミ抜粋
「とても久しぶりに行けました! 明るくてとっても優しい担当スタイリストさんのところへ行くと、いつも幸せになります」(10代女性・東京)
「遠出しないで地元の美容室院に行けば?と周りから言われましたが、やはり担当スタイリストさんでなくては!」(30代女性・東京)