コロナ禍で外出自粛が求められ、自宅での時間が増える中、セルフ美容はどう変わったのか。
花王の「生活者研究センター」は、2020年4~5月と7~8月の2回にわたり、美容感度の高い女性を対象に実施したオンラインインタビューの結果を公表した。
外出自粛でセルフケア熱心に
外出自粛によって生活が変化する中、スキンケアはどう変わったのか。
オンラインインタビューでは、自宅でのセルフケアに力を入れているとの回答が集まった。
サロンが休業したり、通いにくくなったりする状態でも「コロナを言い訳にして、美容やボディケアを怠りたくない」と気を取り直し、自宅でのセルフケアに切り替え、自分磨きに取り組んでいたようだ。
また、自分なりに新たな方法を試すうちに「美容の視野が広がった」と感じた女性もいた。
体形についても同様に、ジムに通えなくなると早々に自宅でのオンラインレッスンに切り替え、ボディラインが崩れないようトレーニングを熱心に行っていた。
オンライン映えやマスクを意識
また、在宅勤務や外出自粛によって会議やプライベートの飲み会などがオンライン化すると早々に、“画面越しにきれいに見えるメイク”の研究を始めていた。
外出時にマスクが欠かせない生活が続くようになると、素材やデザイン別に数種類持ち、TPOによってマスクを使い分ける人も。
マスクから見える目元のメイクを濃くする、大ぶりのピアスで華やかさを演出する、まとめ髪にして顔周りをすっきりさせるなど、マスクを含めた装いを楽しむ工夫はすでに日常化していると言えそうだ。
生活様式の変化は、女性たちの美容に対する意識に影響を与えた。
例えば、在宅で長時間のパソコン仕事となり、自分の手元を見る機会が増えたことで、きれいな手でいると自分の気持ちが上がることに気づいたという女性。
それまでは人からきれいに見られたくてネイルサロンに行っていたが、今は「自分が嬉しい気持ちになるために、ハンドクリームを買い足して丁寧にケアをしている」という。
ネイルサロンに行けなくなったことで、この機会に自分の爪を休ませて指先の健康を考えるようになったという人もいた。
一方、在宅勤務でも通勤時と同じようにしっかりフルメイクをして、服もおしゃれにコーディネートして着替え、香水も付けて仕事に取り組んでいるという人も。「出勤しなくても生活のルーティンは崩さない。気持ちが引き締まるし、きれいにしていることでテンションが上がる」という。
ヘアスタイルやヘアカラーにも変化
髪については、ヘアサロンに行きづらかったり、人と会えなかったりする自粛期間をチャンスと捉え、グレイヘアにチャレンジしたという女性もいた。
また、思い切って新しいへスタイルに変えたことで、コロナ禍の中での気分転換になっただけでなく、「新しいイメージの自分が発見できた」という声も上がった。
いつもと違う生活は、ヘアスタイルやヘアカラーを変える機会となり、こもりがちな暮らしのなかで気分をリフレッシュさせるきっかけになっていたようだ。
食事や入浴で心と体を健康に
食生活については、家にいる時間が増えた分、料理に手をかける傾向に。
薬膳やマクロビオティックを学んだり、食事で免疫力アップを目指したり、身体の内側から健康で美しくなることを心がけているようだ。
また、夫や子どもと自宅で過ごす時間が増えて、お風呂が唯一、自分だけで過ごす静かな空間になっているという人にとっては、入浴タイムが気持ちのバランスを整える大事なひとときになっているようだ。
美容やおしゃれを気分アップのきっかけに
インタビューを行った花王は「コロナ禍によりストレスや不安のある生活を強いられているものの、ステイホームとなって家で過ごす時間が増えたことは、自分自身をみつめる機会になったという声が多く聞かれた」としている。
「人と会えなくても、おしゃれやメイクをしている方がモチベーションが保てると気づいた」という声と共に、我慢が続く生活の中でも「コロナのせいにして、理想とする自分の外見や内面でいられなくならないようにしたい」「自分自身のために美容を心がけていたい」といった自分を勇気づけるような言葉も聞かれたという。
思うように人に会えない、不安もあるからこそ、自分に合ったペースで、いつもより丁寧なスキンケアや身だしなみに手をかけてみると、前向きな気分になれるのかもしれない。
美の予見に関する調査
調査期間:2020年4月~5月、2020年7月~8月
調査方法:オンラインインタビュー調査
調査対象:2018~19年の都内街頭インタビュー対象者(美容や身だしなみに関心の高い20~50代女性)
対象者数:8人